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» 2019年04月19日 07時00分 公開

即席!3分で分かるITトレンド:コレ1枚で分かる「共創ビジネスの実践」

「共創ビジネス」を実践し、成功に導く鍵は、顧客(共創パートナー)との間に「技術の共有」「価値の共有」「体験の共有」という3つの関係性を築くことです。その理由とは?

[斎藤昌義(ネットコマース株式会社),ITmedia]

この連載は

 カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の従業員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。

※この記事は斎藤昌義氏のブログ「ITソリューション塾」より転載、編集しています。


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 「共創」が流行しています。共創について尋ねると、人それぞれにさまざまな解釈があります。しかし、「共創ビジネス」をどうやって実現するかについて、語られることは少ない。

 共創という言葉は、2004年に、ミシガン大学ビジネススクール教授、C.K.プラハラード氏とベンカト・ラマスワミ氏が共著『The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers(邦訳:価値共創の未来へ―顧客と企業のCo-Creation)』で提起した概念といわれています。企業がさまざまなステークホルダーと協働して共に新たな価値を創造する概念「Co-Creation」の日本語訳です。

 昨今、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や、「攻めのIT」「ビジネスのデジタル化」という言葉が社会正義のごとく語られ、事業部門や経営者はこれまで以上のIT活用を迫られている風潮があります。「何とかしなければいけないが、何をすればいいか分からない」ユーザー企業に、「何が課題か教えてもらえれば、その解決策を提案します」といっても、ユーザー企業を困らせてしまうだけです。

 そんなユーザー企業との関係を転換し、「一緒になって新しいビジネス価値を創り出していきましょう」との思いから、共創という言葉を掲げることは、意味あることです。しかし、現実的には言葉だけが一人歩きしている場合もあります。共創を経営方針に掲げることは悪いことではありませんが、それを「お題目」だけで終わらせないためには、具体的な施策に結び付けなくてはいけません。そうしなければ、現場は混乱するだけです。

Photo 【図解】コレ1枚で分かる「共創ビジネスの実践」

 では、どうすればいいのでしょうか? 私は、共創ビジネスの実践に必要なのは、「技術の共有」「価値の共有」「体験の共有」という3つの関係をユーザー企業(共創パートナー)との間に築くことだと考えています。

技術の共有

 技術の共有は、共創パートナーにはない圧倒的な技術力を提供することです。

 ITを武器に事業の差別化や競争優位の実現を目指す共創パートナーは、ITの内製化に舵を切ります。しかし、必ずしも高い「技術力」を持つ人材がそろっているとは限りません。従って、それを補う需要が生まれてきます。

 ここでいう技術力とは、少ない手間で最大のパフォーマンスを発揮できる力のことをいいます。例えば、「実現したい機能を可能な限り少ないステップ数でコーディングできる力」や「クラウドを駆使してシステム運用できる環境を1日に幾つも構築できる力」などです。ビジネステーマが決まれば、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)を駆使し、これらを実装したビジネスプロセスをデザインできる力も必要とされるでしょう。

価値の共有

 続いて価値の共有は、「誠実に理を尽くして課題を明確にして、一緒になってこの取り組みを成功させたい」というパッションを示すことです。共創パートナーと同じビジネスの価値を共有してこそ、お互いの信頼関係は育まれるのです。

 共創パートナーの立場で考えれば、信頼して任せられる相手でなければ、自分たちの重要な仕事を「一緒にやろう」とは思わないはずです。そう思ってもらえる人格もまた、共創の大事な要件になります。

体験の共有

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 不確実性に対処することが、企業の成長や生き残りに必須の要件になりました。

 アジャイル開発やDevOps、クラウドの活用が当たり前になり、コンテナやマイクロサービス、サーバレスなどが注目されるようになったのは、まさにこのような背景があるからです。

 これら技術を使いこなし、共創パートナーの教師となって体験させ、教える必要があります。理屈で語るのではなく、「これはすごい、いいやり方だ、このやり方でやりたい」と、体験を通じて感じさせ、「自発的に学ぼう」という意欲を引き出し、継続させることが大事なのです。


 これら3つの関係の構築をリードすることで、「この人たちと一緒に取り組みたい」と共創パートナーを“ほれ”させなくてはなりません。そして、こういう生き様や働き方、考え方を“感染”させて、一緒になって共創パートナーの改革に貢献することが、「共創ビジネス」の実践になるのでしょう。

著者プロフィール:斎藤昌義

book 【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド [増強改訂版]

 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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