PwCの調査によると、企業幹部の過半数がコスト削減よりも生成AIなどの新技術への投資を重視しているという。積極的な投資の一方で、AIの社内活用が進まない理由とは。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
監査やコンサルティングを手掛けるPricewaterhouseCoopers(以下、PwC)が2024年5月(現地時間、以下同)に米国企業の経営幹部673人を対象に調査し、2024年6月第3週に発表した報告書によると、企業の経営幹部はコスト削減よりも生成AIを中心とした新技術への投資を優先している(注1)。
企業の経営幹部の73%が、「自社のビジネスモデルを変えるために生成AIの導入を利用する」と回答している。生成AIに投資している企業の割合は51%で、2023年8月に実施された同調査結果(46%)から上昇していることが分かった。
経営幹部の55%が、「新技術の採用で競合他社に後れを取ることを恐れている」と回答しており、これは2023年8月の調査結果(48%)から増えている。また、導入に向けた課題として、「コスト」が上位にランクインしている。
CEOをはじめとする経営幹部は、新技術と効率性の向上に目を向け、大きなビジネス変革を推進している。PwCの調査によると、その先頭に立っているのがCIO(最高情報責任者)で、CEOの74%が経営幹部(C-suite)の中で最も有能なメンバーだと評価しているという。
「技術投資と業務モデルの再編成を組み合わせることは、企業が人員削減の段階を超えて、労働生産性を高める方法を模索していることを示唆しているのかもしれない。基本的には、少ない人員でより多くの業務をこなすことに等しい。これを可能にするためには継続的な投資が必要になるだろう」(PwCの調査レポート)
ここで足かせになるのがIT戦略のサイロ化だ。「クラウドやデータ、AIは独立した技術としてバラバラに実装するのではなく、相互に関連させるべきだ」とPwCは述べる。
その他の課題も企業の成長を妨げている。技術チームはデータを管理し、ガイドラインを策定しているが、ほとんどの企業ではAI活用を拡大するための技術的成熟度が不足している(注2)(注3)(注4)。それでもAI技術の利用は広がっており、従業員は適切な指導がなければそのメリットを十分に享受できないだろう(注5)(注6)。
(注1)PwC Pulse Survey: Finding opportunity in reinvention(PwC)
(注2)4 executive views from AI’s data underbelly(CIO Dive)
(注3)How CIOs can infuse security into generative AI adoption(CIO Dive)
(注4)AI cost, security worries stand in the way of scalable solutions(CIO Dive)
(注5)Workplace generative AI use soars, but risks linger(CIO Dive)
(注6)AI use could lead to a busy work boom, Slack finds(CIO Dive)
(初出)Enterprises prioritize tech spend over cost-cutting, PwC says
生成AIは2025年には“オワコン”か? 投資の先細りを後押しする「ある問題」
なぜIT部門は先進技術にチャレンジできないのか? 「忙し過ぎ」以外の理由を考える
給料を15%アップさせるのは「あのスキル」 AWS調査で判明
「子会社系SIer」で深刻化する“忙し過ぎ問題” 最も不足している意外なIT人材とは?© Industry Dive. All rights reserved.