コレ1枚で分かる「VRとARの違い」:即席!3分で分かるITトレンド
2025年までにおよそ800億ドル(約9兆円)に達すると予測されるVR(仮想現実)とAR(拡張現実)の世界市場。さまざまな分野で活用が期待されるVRとARについて、その違いと特徴を整理しておきましょう。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
デスクトップPC並みに普及が予測されるVR/AR
コンピュータと人間が視覚を介してつながる技術が登場しています。代表的なVR(仮想現実)とAR(拡張現実)について解説します。
VR(Virtual Reality:仮想現実)
ゴーグルを被るとコンピュータグラフィックスで描かれた世界が目の前に広がります。顔の動きや身体の動きに合わせて映像も動き、ヘッドフォンを被れば音響効果がそれに加わり、まるで自分がそこにいるかのような感覚を体験できます。これがVRです。コンピュータで作られた人工的な世界に自分自身が飛び込み、まるでそれが現実であるかのように体験できる技術です。
代表的な製品としては、Oculus Rift(Oculus)、HTC Vive、PlayStation VRなどがあります。次のような用途に使われています。
- 没入感を体感できるゲーム
- 航空機の操縦シミュレーション
- 3D映像で作られた住宅の中にシステムキッチンなどの住宅設備を設置してみせるデモンストレーション
など
AR(Augmented Reality:拡張現実)
ゴーグルやスマートフォン越しに見ている現実の建物や設備に、それが何かを説明する「別の情報」が重なるように表示されます。自分が見ている室内の光景や風景に、実際にはそこにないモノや建物が表示され、まるでそこに実物があるかのようです。身体を動かしても位置が変わりません。これがAR技術です。現実に見ている視覚空間に情報を重ね合わせて表示させ、現実世界を拡張する技術です。
代表的なゴーグル型の製品としてMicrosoft HoloLensがあります。他にもスマートフォンやタブレットを風景にかざし、背面カメラで映し出された映像に情報を付加するソフトウェア製品も数多く登場しています。次のような用途に使われています。
- 設備点検の時に見ている箇所についての情報を表示させる
- 機械の操作パネルの映像上にスイッチやレバーの説明や操作方法を表示させる
- 現実の空間にモノを表示して製品の検討や教育などに使う
- スマートフォン越しに映し出された建物や風景に説明情報を重ねるように表示して観光案内をする
など
世界最大級の投資銀行であるゴールドマン・サックスは、世界のVR/AR市場は2025年までにおよそ800億ドル(約9兆円)に達すると予測しています。これは、現在のデスクトップPC市場にほぼ匹敵する規模です。その市場は、現在盛り上がりつつあるゲームやエンターテインメント分野だけではなく、医療分野や産業分野、小売市場など、さまざまな業界で使われるようになるだろうと予測しています。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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