「macOSをアップデートするな」 そんなウイルス対策ソフトで大丈夫か?:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
65件の脆弱性が修正されていると発表されたmacOS Sierra。早速、OSをアップデートしようと思ったら思わぬ事態に……。
基本的にOSベンダーは、一般のリリースの前に「β版」と呼ばれる、開発者向けのバージョンを内々にリリースしており、発売前のOSでもトラブルが起きないかをチェックすることが可能です。その上でも対応しきれなかったのか、と思ってESETの製造元のサイトをチェックすると、英語版はきっちりとmacOSリリースの前日、9月19日に対応版が出ていることが分かりました。ということは、これは“日本のローカライズ版特有の問題”ということになります。
これでは「Macでもセキュリティ対策が必要!」といいにくい状況に
以前から私は、「Macはウイルスがないから安全」といった、間違った安全神話がはびこっていることが気になっていました。
なりすましによって、あたかも知人から来たかのように偽装したチャットから短縮されたURLが送られてきて、それが偽物の金融機関のページだったら――。こうした脅威のシナリオにOSは関係なく、Macユーザーも攻撃の標的になります。
このような場合は、Windowsと同様、「セキュリティ対策ソフト」の出番だと思うのですが、今回のような事態が起こるようであれば「Macもセキュリティ対策ソフトを入れた方がいいよ」とは、正直言い難いです。
結局、私は、まだ最新OSに対応していないセキュリティ対策ソフトをアンインストールし、新機能が追加され、脆弱性が修正されているOSにアップグレードすると決めました。恐らく、大多数のユーザーは、このあとセキュリティ対策ソフトを再びインストールしようとはなかなか思わないのではないでしょうか。
ESET日本版も、間もなく対応版をリリースすると思います。でも、ことセキュリティ対策ソフトに関しては、OSアップグレードにはきっちりと対応してほしいと思うのです。たった数日のブランクが、「だからOSをアップグレードするのはめんどくさいんだ」とか「セキュリティ対策ソフトなんて無駄だよね」なんていう“言い訳”に使われないためにも。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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