AWS日本法人が開いた「一風変わった会見」の背景:Weekly Memo(1/2 ページ)
AWS日本法人がAWSクラウドサービスの活用事例について一風変わった記者会見を開いた。会見を主導したのが経済産業省だったからだ。その背景とは――。
AWS日本法人が経産省とともに開いた会見の内容とは
「皆さん、こんにちは。まず私から、中堅・中小企業におけるIoT(Internet of Things)活用推進の取り組みについて説明させていただきたい」
経済産業省製造産業局デジタル化・産業システム担当参事官の徳増伸二氏は、米Amazon Web Services(AWS)の日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパンが11月4日に開いたAWSクラウドサービスの活用事例に関する記者会見でこう切り出した。会見の場所こそ同社だったが、徳増氏が最初に話し始めたことから経産省が主導しているように見えた。
左から、経済産業省製造産業局デジタル化・産業システム担当参事官の徳増伸二氏、アマゾンウェブサービスジャパン事業開発本部Mobile&IoT事業開発マネジャーの榎並利晃氏、武州工業代表取締役の林英夫氏、スタイルズ代表取締役社長の梶原稔尚氏、スカイディスク最高執行責任者(COO)の金田一平氏
それもそのはず、会見の内容は、経産省製造産業局が取り組んでいる中堅・中小規模の製造業におけるIoT活用推進施策が主体で、その活用事例の多くにAWSクラウドが利用されているというものだった。
徳増氏によると、「政府としてIoTやロボットの活用に注力する方針を打ち出していることから、私どもで2015年5月にロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)を創設し、その活動の重点施策として中堅・中小製造業へのIoT活用推進に取り組んでいる。具体的には、ツール情報の一元化や事例集の策定などに取り組んでおり、このたびツール情報の一元化において成果が得られたので公表した」という。
その成果とは、RRIが今夏に実施した「第1回 中堅・中小製造業向けIoTツール募集イベント」において、応募の中から106件を「スマートものづくり応援ツール」として選定したことだ。106件の内容はRRIのWebサイトで公開されている。
今回の会見には、こうした活動や選定ツールを一層アピールするという経産省の狙いがあるようだ。会見では、106件の中から、武州工業が開発した「スマートフォンを利用した機械動作情報収集装置」および「Raspberry Piを利用した機械動作情報収集装置」、スタイルズが開発した「IoT/GPSトラッキングプラットフォーム」、スカイディスクが開発した「サブギガ帯対応IoTトライアルキット」について、3社の代表者がそれぞれの概要を説明。3社に共通するのは、いずれもAWSクラウドをベースとしてツールを提供しているということである。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- クラウド市場に異変? 相次ぐ協業の狙いを読み解く4つのポイント
「AWSとSalesforce.comの日本法人による協業強化」「AWSとVMwareが提携」―― 先週、クラウド市場を大きく揺り動かす2つ協業が発表された。これらの動きにはどんな意味があるのか。 - なぜ今、“AIファースト”なのか Google、AIクラウドに本腰
Googleが企業向けクラウドサービスに一段と注力し始めた。検索エンジンで培ってきたAI技術を注入したのがミソだ。このAIクラウドで、AWSやAzureといった競合を打ち負かすことができるのか。 - 巨人AWSが説く、クラウド移行で重要な2つのポイント
クラウドと言うと、つい技術寄りの話になりがちだが、AWSが「経営視点」で企業ITのクラウド化について説く機会があったので、その内容を取り上げたい。 - 住信SBIネット銀行、ローン審査に人工知能を活用する実証実験を開始
住信SBIネット銀行と日立製作所は、日立の人工知能と地理情報システムなどの統計データを活用した住宅ローンやカードローンに関する先進的な審査手法の実証実験を2016年10月1日から開始する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.