なぜ、パッケージソフトの「カスタマイズ」で失敗してしまうのか?:失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(3/3 ページ)
外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。今回からはソフトウェア選定後、実際に導入を進める上で陥りやすい落とし穴を紹介していく。まずは、失敗例が本当に多い「カスタマイズ」問題を取り上げる。
3点に絞れる「カスタマイズのワナ」
今回の話をまとめるとカスタマイズ時の問題点は、主に以下の3点に集約できます。
- 細部にわたって実現したいことにこだわる
- 本来のパッケージソフトウェアがもたらす価値とは異なる方向性の機能が優先される
- 導入の主目的とは異なる、一部の部門の都合が優先される
パッケージソフトウェアはそもそも、特定の目的に対して最大の効果を発揮できるように設計、実装されています。また、さまざまな企業に受け入れられるように、汎用性が高いのも特徴です。本来の目的から逸れていくほど、そのソフトウェアは使いづらいものになります。
自身の会社や業務に合わせて細かくカスタマイズしたい気持ちも分かりますが、ほどほどにとどめておくべきでしょう。パッケージソフトの導入は、自社の現状を変えないためではなく、変えるために投資をするわけですから。
「そのカスタマイズに価値はあるか!?」
一部の意見や都合が優先されるという問題は、社内のさまざまな人の立場を踏まえて「要件」を整理することが重要です。ただ、プロジェクトを進めるのも人ですから、自分の立場を優先したり、論理的に進まないこともあるでしょう。その場合は、客観的にプロジェクトの進行を評価する、当事者と利害関係のないPMO(Project Management Office)を設置するのが有効です。
最後に、カスタマイズで失敗しないためのシンプルな問いかけを紹介しましょう。「そのカスタマイズは、ユーザーやプロジェクトにお金を出すスポンサー(多くの場合は社長や株主)にとって価値があるか?」です。決して安くないものに投資すれば、それなりのリターンを求められます。そのリターンに関与しない、またはマイナスになるようなカスタマイズは排除すべきなのです。
次回も引き続き、パッケージソフトウェアを導入するというフェーズでの失敗例をご紹介します。お楽しみに。
本記事のポイント
- パッケージソフトウェアのカスタマイズには、実施の方法によってスケジュールの遅延や費用の追加、未知の不具合などのリスクが伴い、パッケージソフトウェアそのものの利点が失われる可能性がある
- カスタマイズの問題は、製品やプロジェクトがもたらす価値(成果)に対する理解が不足している場合に発生しやすい。対象のカスタマイズがプロジェクトに有効かどうかを客観的に確認することで防げる
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