ITの10大トピックで振り返る2016年:Weekly Memo(1/2 ページ)
2016年も残すところあとわずか。今回は、この1年の本コラム「Weekly Memo」51本から注目すべき10本をピックアップし、この1年のエンタープライズ市場を振り返ってみたい。
2016年も残すところあとわずか。今回は、この1年の本コラム「Weekly Memo」51本から注目すべき10本をピックアップし、この1年のエンタープライズ市場を振り返ってみたい。
加速するデジタルトランスフォーメーション
2016年の「Weekly Memo」で特に印象深かった記事としてピックアップした10本は、キーワード別に見ると、「デジタルトランスフォーメーション」1本、「エンタープライズプラットフォーム」1本、「IoT(Internet of Things)」2本、「AI(人工知能)」1本、「クラウド」5本となった。ただし、これらのキーワードは関連し合っているので、あくまでメインの話題として見ていただきたい。
まず、デジタルトランスフォーメーションをテーマにした1本は、10月11日掲載の「ガートナーが説く『企業のデジタル化に欠かせない5つの要件』」である。ガートナーのメッセージは、「企業はデジタル化に向けて自ら最適なデジタルプラットフォームを構築すべき」とし、その際に「ITシステム」だけでなく「カスタマーエクスペリエンス」「IoT」「インテリジェンス」「エコシステム」への対応を合わせた5つの要件が欠かせないというものだ。
デジタルトランスフォーメーションは2017年も企業にとって重要なテーマになるだけに、こうした考え方をしっかりと認識しておきたいところである。
エンタープライズプラットフォームをテーマにした1本は、8月1日掲載の「覇権争いが激化 エンタープライズプラットフォームの勢力図はどう変わる?」である。この記事では、これまでこの分野で大きな影響力を誇ってきたOracleとSAPの新たな動きを捉えつつ、クラウド化の進展で勢力図がどう変わっていくかを解説した。2017年はこの分野において、さらに大きな“地殻変動”が起きるかもしれない。
IoTをテーマにした2本のうち1本は、9月20日掲載の「“もの売りからサービス提供への転換”がIoTの本質、でも、どうやって?」である。企業のIoTへの取り組みについてPwC幹部が語った「最初からROI(投資対効果)に固執せず、IoTを活用できそうな領域に対して素早くパイロットプロジェクトを立ち上げ、やってみなければ分からない経験を重ね、やっていくうちにビジネスチャンスを見いだすといった姿勢が大事」とのコメントが印象深かった。IoTの活用は企業にとってデジタルトランスフォーメーションへの要となるだけに、積極的にアプローチすべきだろう。
IoTをテーマにしたもう1本は、10月31日掲載の「GEはなぜ、NECとIoT分野で“特別な関係”になったのか」である。この記事を取り上げたのは、両社の提携がとりわけNECにとって、GEのプラットフォーム「Predix」をベースに産業向けIoT分野でのグローバル進出の足掛かりになると考えるからだ。その意味では、日本のITベンダーが今後グローバル市場で生き残っていくための戦略の取り方を示唆しているともいえる。
AIをテーマにした1本は、11月21日掲載の「Salesforce.comがAIに本腰、競合とどこが違うのか」である。企業がAIを活用しようとすると、実はさまざまな課題が浮かび上がってくる。まず膨大なデータを準備しなければならず、それを処理するためのセキュアなインフラや、AIを活用して解析を行うデータサイエンティストのスキルが必要になる。また、その前提として、こうしたことを行う目的を明確にしておかなければならない。これに対し、SalesforceのAIは同社のサービスを一層スマートに活用できるようにしたものだ。すなわち、従来のアプリケーションがAIによってスマートになるわけだ。2017年はこうしたAIの活用が本格的になっていくだろう。
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