シリコンバレー見聞録 SAPのビジネスモデル変革を成功させた「3つのP」:柴崎辰彦の「モノづくりコトづくりを考える」(1/2 ページ)
IT起業の聖地といわれるシリコンバレーで見聞きした刺激的かつ興味深い体験から、注目のポイントを紹介。第5回は、デジタルビジネスの世界で売上を伸ばしているSAP本社の「Palo Alto Labs」です。
この記事は柴崎辰彦氏のブログ「柴崎辰彦の「モノづくりコトづくりを考える」」より転載、編集しています。
最近、ICTの世界では、システムをSoR(System of Record)とSoE(System of Engagement)という概念で説明します。これは、『キャズム』の著者で有名なジェフリー・ムーア氏が提唱する概念で、経理や人事など“記録のためのシステム”とデジタルテクノロジーを使った新しい“関係性のためのシステム”と捉えることができます。
ERPシステムの巨人といわれるSAPは、長らくSoRの象徴として捉えられて来ました。しかし、最近ではビジネスポートフォリオが大きく変化してきているようです。
NewSAP成長の象徴
2010年ごろのSAPの売上の大半は、ERPビジネスでしたが、2015年にはNewSAPと呼ばれるSoE、すなわちデジタルビジネスの世界で売上を急伸させています。従来のERPビジネスは、売り上げの4割でしかないという。
新しいSAPのビジネスは、SAP発祥の地ドイツで生まれたのかというと、実はGoogleやApple、そしてあの電気自動車で有名なTESLAのあるシリコンバレーが起点となっているらしい。
変革のポイントは、3つのP
今回のシリコンバレー訪問の目的の1つは、パロアルトにあるSAPの拠点を訪問することで、唯一の日本人として駐在する小松原さんにお会いすることでした。なぜSAPは、NewSAPと呼ばれる新分野を拡大できたのか? 小松原さんは3つのキーワード“People, Place, Proces”を使って説明してくれました。
Peopleとは多様な人との交わり、Placeとはドイツの城下町ではなく、シリコンバレーに出島を作ったこと、そしてProcesとは共通言語としてERP同様、物事の進め方の標準化をグローバルで進めること。
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