創業63年、箱根の老舗ホテルが人工知能を導入した理由:【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(3/4 ページ)
公式Webページに機械学習を使ったFAQシステムを導入した、箱根の老舗ホテル「ホテルおかだ」。こうした最新ITを導入する裏には、旅行業界における大きなビジネスモデルの変化があった。
宿泊客にAIが情報を提供する
今後はAIが学習したデータを宿泊客に対して提供することを考えているという。宿泊客が“今”知りたい情報をWebコンシェルジュのような形で表示するのだ。予約前や予約後に寄せられる質問から、宿泊中に出てきそうな質問を推測し、各部屋のテレビに表示するソリューションを開発しているところだという。
「疑問点も時間によって変わると思うんです。チェックインしたときに知りたいこと、食事前、食事後、寝る前、など。例えば帰るときだったら次に行く観光スポットの情報とか。そういう疑問を時間帯別にカテゴリ化すれば、より精度の高いAIが作れるはずです。
また、うまく情報を与えることで、ピークマネジメントのようなものができればと思っています。お風呂やレストラン、おみやげなど、どうしても混雑する時間ができてしまいがちですが、平準化することで私たちにとっても、お客さまにとってもメリットが出てくる。『今空いてます』といった押し付けではなく、情報提供の頻度などで変えられないかと考えているところです」(原さん)
エンジニア時代よりも技術を学んでいる
最新のITトレンドに合わせ、さまざまなツールを導入している原さんだが、今でもITの勉強は欠かしていないどころか、エンジニア時代より、勉強する意欲は高まっているそうだ。「Japan IT Week」や「AWS Summit」など、展示会やイベントにも足しげく通っているという。
「エンジニアをやっていた当時よりも、自分で考えて自分で作れるから、今は本当に面白いです。技術の進歩も早いですし。昔の経験が生きているわけではないですが、それこそAWSが流行っていると思ったら、自分で契約して使ってみて、新しいAPIがないかって探したりして。
昔は新しい技術が好きだったんですが、技術そのものを追求するイメージでした。今はその技術をどう仕事に生かすかを考えるのが楽しい。そこから動くまでのスピードも今の方が圧倒的に早いです。だから、情報を取りにいく欲求も昔より高くなっている気がします。そうした方が、経営に役立つと自分の中で確信しているので」(原さん)
またリクルートやじゃらん、楽天など旅行業界の技術者と情報交換をすることで、最新の情報を得ることもあると原さん。「半分趣味みたいなところもあると思いますけどね」と笑う。
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