国内企業のIoT利用率は6% 導入の窓口は、事業部門がIT部門を上回る:製造業を中心に着実な伸び
IDCの調査結果によると、国内企業のIoT利用率は、組立製造、運輸、公共といった産業分野の大手企業を中心に、継続的に向上しているという。
IDC Japanは9月6日、国内IoT市場の企業ユーザーの動向調査結果を発表した。Webアンケートに回答があった3941社のうち、235社がIoTを利用していると回答。利用率は6.0%となり、前年比で0.6ポイント増加となった。
調査結果は、IoTの利用企業を「製造/資源」「流通/サービス」「公共/インフラ」「金融」という4つの産業セクタ別にまとめている。
IoTの利用率が最も高いのは製造/資源で、利用率は9.1%となった。同セクタでは、組立製造の企業を中心に、製造プロセスにおける製品品質の向上や設備の故障検知など、工場内のさまざまな用途でIoTを活用しており、中には、自社内で培ったノウハウを基に、顧客向けにIoTを活用したサービスを提供する事例も登場し始めている。
その他のセクタでは、流通/サービスが4.1%、公共/インフラが3.9%、金融が4.8%となった。用途別に見ると、業務プロセスの合理化を目的に「社内用途」で利用するケースが8割以上を占めるものの、製品やサービスの付加価値創出や、新ビジネスを目的とする「社外用途」も徐々に広がっているという。
また、IoTの導入や運用の窓口は、事業部門の割合(約40%)がIT部門の割合(約31%)を上回る結果となった。IDCでは、事業部門が主体となってIoTビジネスを加速しようとするのに伴い、産業分野別に強みを持つIT以外の特定業種事業者や、制御系システム、FA事業者が中心になって、企業にIoTソリューションを提供するケースが増える傾向にあると分析している。
同調査は、2017年6月から7月にかけて、全国の従業員規模100人以上の企業を対象に、定量調査(Webアンケート)と定性調査(個別の対面インタビュー)で実施した。
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