RPAで作ったロボットは、本当に“人間”と同じように扱うべき:人事×RPAで始める「働き方改革」(3)(2/2 ページ)
RPAとは導入して終わりのツールではありません。むしろ導入してからが本番です。今回はロボットの生産性を高めるために、運用フェーズで気を付けるべき2つのポイントを紹介します。
ロボットを“人間”と同じように扱う――「Robotic Life Cycle Management」
2つ目はロボットのライフサイクル管理「Robotic Life Cycle Management」です。
導入プロジェクトが進むと多くのロボットができ、それぞれのロボットが業務を担当することで、業務の生産性は格段に向上するでしょう。RPA導入プロジェクトに携わった立場であれば、「当初の目的を達成した」と満足したいところかもしれませんが、本当に重要なのはここからです。
この状態を人間で例えるなら、部署に配属になって、覚えたての仕事を担当し始めた時期のイメージ。今後も継続的に高いパフォーマンスを発揮し続けるためには、人間同様、ロボットにもサポートが必要です。
人事業務のフレームワークの1つに「従業員ライフサイクルマネジメント」があります。これは、採用した社員が迎える入社後の各ライフサイクルをサポートし、社員の育成やモチベーションの向上を図ることが目的です。これをロボットに置き換えたのが「Robotic Life Cycle Management」です。具体的には、以下の5つの要素が挙げられます。
- 採用:会社として、どのような能力を持ったロボットが必要なのか検討し、計画的にロボットを開発(採用)する
- 配置:新たなロボットをどの部門に配置すると有効なのかを検討する。合わせて、同様のロボットが他部門でも活用できないかを検討したうえで配置する
- 評価:配置したロボットが、生産性向上やROIなど、会社が掲げた目標に見合った効果を上げているかを検証(評価)する
- 開発(育成):想定した効果が上がっていないロボットについては、原因を究明し修正(教育)する
- 退職:評価の結果、廃止すべきロボットを検討し、廃止する
どうでしょう。まさに人間と同じ考え方だと思いませんか? この「Robotic Life Cycle Management」を実現するためには、導入プロジェクトで開発したロボットが、どの部門で何の業務を担当しているのかを集中管理する必要があります。漠然と管理するのではなく、ライフサイクルの状況を的確に把握し、次のアクションにつなげていくためには、ロボットセンターのような専門の組織が必要になるでしょう。
これはもはや、“ロボットの人事部門”と言っても過言ではありません。そのため、ロボットセンターは人事部内、もしくは人事部に近い組織として運営するのが望ましいでしょう。私が「RPAは人事部から導入するべき」と考える理由はここにあります。全社でRPAを導入する際も、人事部門がロボットの特性を理解した上で、他部門へと展開する方が、人事部の人材管理ノウハウが活用でき、有効なRPA展開につながるはずです。
RPAの管理に人事部門が絡むことになれば、人事部門の役割は拡大していくでしょう。そのためにも、いち早く人事部門の生産性を高めることが必要になるのではないでしょうか。
次回はいよいよRPAの未来についてご紹介する予定です。ご期待ください。
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