AIがらみの仕事、やれといわれても約7割が「自信なし」 そんな時代に生き残るには:Weekly Memo(2/2 ページ)
企業で働く人たちは、AIが職場にもたらす影響についてどう考えているのか ――。日本労働組合総連合会(連合)の最新調査を基に考察してみたい。
AIのスキルについて自信のなさが浮き彫りに
4つ目は、今後、自分の職場でAIの導入・活用が進んだ場合、自分の仕事のやり方や難易度がどうなると思うかを聞いたところ、「難しくなる」(「かなり難しくなる」「やや難しくなる」の合計)は23.3%、「変わらない」は60.7%、「簡単になる」(「かなり簡単になる」「やや簡単になる」の合計)は16.0%となった。自身の仕事のやり方や難易度は変わらないと回答した人が多数派だったが、難しくなるか、簡単になるかでは、難しくなるほうが多い結果となった。業種別にみると図4のようになり、「難しくなる」で公務等(37.7%)と建設業(35.3%)が他業種に比べて特に多かったのが印象的だった。
5つ目は、今後、自分の職場でAIの導入・活用が進んだ場合、自分の労働時間がどうなると思うかを聞いたところ、「増える」(「かなる増える」「やや増える」の合計)が11.2%、「変わらない」が62.3%、「減る」(「かなり減る」「やや減る」の合計)が26.5%で、職場にAIが導入されても、自身の労働時間に変化はないと考える人が6割を超える結果となった。業種別にみると図5のようになり、全ての業種において「減る」が「増える」より多くなった。特に運輸業と金融・保険業の格差が大きく、長時間労働の緩和に向け、AIの導入を期待している人が他の業種より多いのかもしれない。
そして6つ目は、今後、自分自身がAIに関する知識・スキルなどの能力発揮を迫られた場合、現在のスキル・技術で対応できると思うかを聞いたところ、図6のように、「できると思う」は32.7%、「できないと思う」は67.3%だった。これをAI認知状況別にみると、「できないと思う」と回答した人が、AIの意味をよく知っている人で48.9%、AIを全く知らない人で87.9%となり、認知状況の違いにかかわらず、AIに関する知識やスキルについて自信がないことが浮き彫りになった。これは本音が透けて見えた結果だろう。
この連合の調査結果は、AIの導入・活用を推進するIT業界にとってもしっかりと踏まえて対策を講じていく必要がありそうだ。
最後に、AIが労働市場に及ぼす影響について、米Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏がメディアのインタビュー(朝日新聞2018年2月20日掲載記事)で語っていたコメントを紹介しておきたい。
「働き方に選択の幅が広がり、魅力のない職種は淘汰(とうた)される。人間の自由や創造性が高まることに比べたら、機械的な労働がAI・ロボットに取って代わられることはたいしたことではない」
その一方で、「ロボットを法律で禁止することはいつでもできる。いつか禁止する国が出てくるかもしれない。私はそうした選択肢もありうると思う」とも語っている。
この後半のコメントを筆者なりに解釈すると、AI・ロボットの活用も人間がマネジメントすればよいと受け取れる。ただ、そのマネジメントを、経営サイドでなく社員の視点に立ってやれるかどうかが重要なポイントなのではないか。そう考えると、これはつまり、「働き方改革」と「働かせ方改革」の論議と根っこが同じではないか。そんなことを考えさせられる連合の調査結果だった。
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