また、Amazonの「欲しいものリスト」で特定の操作を行うと、ニックネームの代わりにAmazonのサービスに登録している名前が表示されることも話題になりました。趣味性や嗜好性の強い商品が入っていたとしたら、プライバシーに関わる問題になりかねません。
これらの事象が問題だと認識されれば、「不具合」として処理されるでしょう。しかし、一度、不具合によって表示されてしまった情報は取り消すことができません。教科書的な回答として「信頼できるサービスにのみ情報を預けましょう」と言いたいところですが、Twitter、LINE、Amazonといった、現在のインターネットを代表するようなサービスですら問題が起こっているわけで、これらを信頼せずに何を信頼すればいいのかと頭を抱えてしまいます。
建前としては「恥ずかしくない行動を」、でも……
こうした不具合に対して、私たち利用者はなすすべがありません。対応策も教科書的に、「Webサービス上では、表沙汰になっても恥ずかしくない行動を心掛けましょう」というしかありません。そのためには万が一、不具合が明らかになったとしても、誰かに迷惑を掛けないようにしなければなりません。
もし今、非公開リストに「嫌いなヤツ」「ウォッチ対象」のような名前を付けているとしたら、「消せ」とまではいいませんが、今すぐ修正したほうがいいでしょう。
そして、SNSにおいては、「誰かに見られたらトラブルになりかねない発言」はしないことです。いくら“特定メンバーだけに表示する仕組み”があったとしても、その「アクセスコントロール機能自体に不具合がある可能性」も想定したほうがいいでしょう。
要するに「SNSで陰口や悪口を言うのはやめましょう」ということです。「誰かの悪口を見たい人」なんて、そうはいません。そこには書きたい人がいるだけです。
もちろん、こうした不具合が起こらなければいいのですが、世の中には、悪意のないミスがあふれています。これからの時代は、それを許容することも必要になるでしょう。何かが起こったときに困ったことにならないよう、“問題の火だね”を発信しないことも重要です。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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