HoloLensで海運・海洋産業にもDX――陸海空のDX市場を制覇したHoloLensの実力とは?:Microsoft Focus(2/3 ページ)
日本マイクロソフトは、JRCSとの協業で、HoloLensを活用した海運・海洋産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)にも乗り出した。その詳細とDXにおけるHoloLensの可能性とは。
さらに、船舶の自動航行までを見据えた操船ソリューション、「INFINITY Command」を開発することも発表した。船舶操舵を行うキャプテンが、IoTやAI、ビッグデータを活用することで「デジタルキャプテン」に進化。陸上から複数の船舶をコントロールできるようになるという。実用化に向けては、日本マイクロソフトと検証を進め、2030年のサービス開始を目指すという。
近未来に登場する「デジタルキャプテン」は、HoloLensなどを通じて、遠隔地にいるデジタルキャプテンと3D海図を共有。航路、天候、海底地形などの情報をAIを活用しながら確認し、船舶の安全や海上輸送の正確性を確保し、効率性を高められるという。
なお、JRCSでは、今回の協業に合あわせて、同社内に、4月1日付けで、デジタルイノベーション推進室を設置し、これらのプロジェクトを推進することになる。
JRCS社長の近藤高一郎氏は、「海運・海洋産業は、環境が厳しい職場という認識があり、日本の若者から敬遠されている。そのため、日本人で船員を希望する人が少なく、外国人船員が増加している。『海運・海洋産業はワクワクする業界』という認識を持ってもらえるように、業界全体に輝きを取り戻す取り組みが必要」と前置きし、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を通じて、海洋業界のイメージを変えられないかと思っていたところに、JALや小柳建設がHoloLensを利用して、業界を変えようとしていることを知った。2018年1月に、米シアトルのMicrosoftのラボを訪問したところ、よい意味でショックを受け、これは必ず行けると感じた。若い人たちの海運に対するイメージを変えたい。それを実現できるのがHoloLensだと確信している。この取り組みをきっかけに、将来的には売上高の6割以上をデジタルによるものにしたいと考えており、デジタルによって、新たな価値を市場に提供できる企業にJRCSを変貌させたい」と述べた。
関連記事
- 連載:「Microsoft Focus」記事一覧
- 時間と空間を超える夢のツール、HoloLensで何をする? コミュニティー発のアイデア、あれこれ
HoloLensの出荷1周年を記念して開かれた日本マイクロソフト主催のイベントに、熱気あふれる“ホロレンジャー”たちが結集。彼らは、時間と空間を超える夢のツールでビジネスをどう変えようとしているのか。 - 風神雷神図屏風を「HoloLens」で鑑賞――まるでアトラクションのような体験に驚いた
HoloLensを使って、日本の国宝である「風神雷神図屏風」の新たな鑑賞体験を――。そんなイベントが京都で開催されている。記者も実際に体験してみたが、従来の鑑賞とは全く異なる、1つの“アトラクション”のような感覚を味わった。 - Microsoft、次期「HoloLens」に独自のAIコプロセッサ搭載へ
Microsoftがディープニューラルネットワーク(DNN)用のAIコプロセッサを独自開発していると発表した。次期「HoloLens」のプロセッサ「HPU 2.0」に搭載する計画だ。 - 室内空間の温熱・気流分布を「HoloLens」に可視化――富士ソフトと安藤ハザマが新技術「環境ウォッチ」開発
富士ソフトと安藤ハザマは、室内環境可視化技術「環境ウォッチ」を共同で開発した。Microsoftの「HoloLens」を活用し、実空間に温熱や気流をARで3次元表示する。 - 「HoloLens」で調剤作業を効率化――調剤薬局支援システムの実証実験を発表
シャンティは、HoloLensを使った調剤薬局支援システムの活用実証実験を実施する。処方箋の内容から、薬剤師を必要な薬のある棚やトレイの位置へ誘導し、薬品の取り出しミス防止など、一連の業務を支援する。 - 「Microsoft HoloLens」を活用した開発やメンテナンスも――日本マイクロソフト、三菱ふそうトラック・バスをAIやIoTで支援
日本マイクロソフトは、三菱ふそうトラック・バスのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に関して、課題の抽出から、人工知能やIoT、AR(拡張現実)といった最新技術を活用した解決手段の提案、導入までを一貫してサポートする。 - AIファースト×MR――MicrosoftがDX市場に送り込む“刺客”の実力は?
米Microsoftのサティア・ナデラCEOは、2017年9月25から開催された「Microsoft Ignite 2017」で、デジタルトランスフォーメーション(DX)をリードする新たなコンセプトとして、「AIファースト」を打ち出した。 - HoloLensで日本企業はどう変わる? 自民党のIT戦略特命委員長が体験
ヘッドマウントディスプレイ型デバイスを装着すると、現実空間に3Dの物体が浮かび上がり、つまんだり動かしたり、中を見たり、操作したりできる――。そんなマイクロソフトの「HoloLens」を体験した議員たちの感想は?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.