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AIで燃焼効率を向上 東電FPと日本TCS、火力発電所運営の最適化モデル開発へ
東電FPと日本TCSが、AIによる火力発電所運営の最適化で基本合意。火力発電所の運転データをAIで分析し、排ガスの低減、燃焼効率向上などを実現する最適化モデルを共同開発する。
東京電力フュエル&パワー(東電FP)と日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS)は5月22日、AIによる火力発電所運営の最適化モデルの開発・導入に向けた基本合意書を締結したと発表した。
両社は、火力発電所の運転データをAIで分析し、運営や保守の標準化と効率化、設備効率の向上、燃料の最適化といった火力発電所運営の最適化モデルを共同開発する。東電FPが有する火力発電分野のビッグデータを提供し、インドのITサービス大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)がAIによる分析を行う。
最適化モデルは、東電FPが自社に適用して運用や保守の高度化を目指すとともに、他の発電所向けにサービス展開し、発電効率の向上、環境負荷低減、化石燃料の使用量削減といったサプライチェーンの最適化につなげる。
東電FPでは、この合意に先立ち、経済産業省資源エネルギー庁が推進する「電力インフラのデジタル化研究会」で、AIによる石炭火力発電所の燃焼調整の最適化(燃焼プロセスにおける排ガスの最小化、蒸気の温度やボイラー効率の最適化など)を実施検証を行った。
過去2年分の運転データを基に、AIを用いた最適化モデルを算出したところ、ボイラー出口から排出されるNOx(窒素酸化物)排出量が、エンジニアによる最適条件と比較して約10%低減でき、環境的、経済的な側面でAI導入の有効性を確認したという。
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