顔が見えないから難しい! 「電話会議」をスムーズに進めるための三原則:榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(2/3 ページ)
対面での会議のようにスムーズにいかず、運用が難しいと思う人も少くない「電話会議」。うまく進めるには、参加者全員が守るべきコツがあります。
制約1: 表情やしぐさを観察できない
1つ目の問題は、表情やしぐさを観察できないということ。
電話会議では、相手の顔が見えない。顔が見えないと、あの人は「意見がありそうだ」「質問したそうだ」「つまらなそうだ」「気に入らなそうだ」といった、人が放つ雰囲気を捉えることができない。
「メラビアンの法則」というものがよく知られているが、要するに、人のコミュニケーションは非言語の要素(しぐさや表情、視線、姿勢など)が約半分を占めているという話である。
つまり、電話会議ではコミュニケーションの5割が削がれてしまう状態になる。だから難しい。雰囲気が分かると的確に発言を促したり、話を振ったりできるが、電話会議ではそれができない。
制約2: 誰が話しているのか分からない
2つ目の問題は、誰が話しているのか分からないということ。
電話会議は声しか聞こえないので「誰が発言しているのか、よく分からない」という問題も出てくる。
以前、ブログで紹介した「会議の基本動作7『対話を促せ』」で触れたが、意見の下には隠れて見えない「価値観や経験」があるものだ。上記の記事で紹介した「合意形成の氷山モデル」を参考にしてほしい。
例えば「A案には反対。B案を推したい」という意見でも、営業のエースであるXさんが言ったのと、財務部長のYさんが言ったのとでは、場に与える影響が変わり、次に議論すべきことも変わってくる。
また、会議の議事録を見返す際に、発言者が誰かが記載されていないと、誰の発言なのか気になるはずだ。発言者が分からないと、何だか味気ない議事録にも見える。それは発言の背景にあるものを想像できないことが原因である。
制約3: 議論が可視化できない
3つ目の問題は、議論を可視化できないこと。
スクライブができないから、目隠し将棋の状態に戻ってしまう。この問題がどれだけ深刻かは、「会議の基本動作4『議論を可視化せよ』」でも解説したので、参考にしてほしい。
結果として、「今、何を議論しているのか」「結論は何か」「決まったことは何か」の認識合わせが難しくなる。
このように、電話会議は多くの制約がある状態での議論であるというのを、まず理解してほしい。対面の会議でもファシリテーションは難しいのだから、制約が多い電話会議はもっと難しい。やりとりできる情報が音声しかないため、会議の難易度は極めて高くなる。
それを踏まえた上で、次の3つの対策を紹介する。(なお、『世界で一番やさしい会議の教科書 実践編』では5つの対策を紹介しているが、ここではエッセンスを絞って紹介する。)
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