顔が見えないから難しい! 「電話会議」をスムーズに進めるための三原則:榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(3/3 ページ)
対面での会議のようにスムーズにいかず、運用が難しいと思う人も少くない「電話会議」。うまく進めるには、参加者全員が守るべきコツがあります。
対策1: 発言前に必ず名乗る
最も簡単で効果が大きいのは、発言する前に名乗ることだ。「田中です。A案について質問があるのですが」「佐藤です。確かにそうだと思います」といった感じだ。これだけでも不思議と電話の向こうの雰囲気が伝わってくる。発言者を特定できるため、発言者の「氷山の下」を想像できるようにもなる。
発言する側にも利点がある。名乗ることで一瞬の間ができ、その間に多少、発言を整理できる。その後に続く発言が端的でクリアになる傾向がある。地味ではあるが、経験上、名乗るのは絶大な効果がある。
対策2: 普段の3倍、声を張る
電話会議では、相手の方で何が起こっているのかが全然見えない。だから小さな話し声が聞こえたときには無視してもよいのか、拾った方がよいのか迷ってしまう。
そのため、電話会議で議論するときは、いつもの3倍くらい大きな声で、滑舌よく話すように心掛けたい。「小さな声」「こそこそ話」「独り言」は禁止だ。
同じ会議室にいれば聞こえる大きさの声でも、電話の向こうでは聞こえない。一定以上の音量が発生しないと、マイクがオフになる電話会議システムもあるくらいだ。はっきりと大声で、電話の向こう側に話かけるようにしなければならない。
とにかく、いつもの調子で会議ができるとは思わない方がいい。それを忘れてしまうのか、知らないのか、電話会議でもいつも通りのトーンで話す人が非常に多い。電話会議は「普段の3倍、声を張る」と肝に銘じておきたい。
対策3: コミュニケーションの大原則を徹底する
電話会議では、コミュニケーションの非言語要素が使えないので、発言者の意図は言葉から判断するしかない。つまり「言葉」に全てがかかっている。そのため、はっきりと誤解なく話す必要がある。あやふやな表現は許されない。
発言をはっきりさせるのに効果的なのは、コミュニケーションの大原則を押さえることだ。
コミュニケーションの大原則
A)最後まで言い切らせる
B)質問にはストレートに一言で答える
C)何をしようとしているのかを宣言する
まとめ
この3つを押さえるだけで、途端に発言がクリアになる。少しでも不明確な発言があると、すぐにぐちゃぐちゃした議論になってしまうから、全員でこの3原則を守る。
そして、少しでも曖昧な発言があったら、理解できるまでしつこく問い直す。
「言いたいことは何なのか?」「もう1回、端的に言ってもらえる?」「質問にストレートに答えると、どうなるの?」という感じで、電話会議ではビシビシとツッコミを入れて構わない。
むしろ、そのくらいどんどんツッコミを入れないと、スムーズにコミュニケーションができないと思っておいた方がいい。話し手も、いつもの3倍の声量で、はっきりとストレートに話す。そうやって、電話会議では、不明瞭な発言を徹底的に糾弾することで、ようやくまともな会議ができるようになる。
ちなみに、上記の「コミュニケーションの大原則」のA)については「発言は最後まで言い切れ」、B)については「質問には『ストレート』に『簡潔』に答えよ」でも触れたので、興味があれば参照いただきたい。
最後にポイントをまとめておく。
電話会議をスムーズにするコツ
- 電話会議は本当に難しい。
- 非言語要素が使えない状況を甘く見るべからず。
- 参加者全員が、普段以上に気を付けること。
- 特に「発言の仕方」を変えるだけで、かなりよくなる。
著者プロフィール:榊巻亮
コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。一級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。
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