24年前はどうだった? 銀行システムの進化をめぐる“今昔物語”:Weekly Memo(1/2 ページ)
巨大で頑強なITの象徴である銀行のシステムが変わろうとしている。この変化に大きな影響を及ぼしそうな動きがこのほどあった。この機に、筆者の取材録から24年前の銀行システムの動向ものぞいてみたい。
NTTデータが勘定系ソフトのオープン基盤を提供
NTTデータが7月20日、現在メインフレーム上で稼働している金融勘定系パッケージソフトをオープン基盤でも利用できるようにすると発表した。これまでに、富士通と日立製作所のオープン基盤環境において性能面などの技術検証を終えたとしている。この動きは、巨大で頑強なITの象徴である銀行システムの変化に大きな影響を及ぼしそうだ。
NTTデータがメインフレームとともにオープンな基盤でも利用できるようにしたのは、「BeSTA(ベスタ:Banking application engine for STandard Architecture)」と呼ぶ金融勘定系パッケージソフト。これまで富士通と日立のメインフレームをベースに、地方銀行向けの勘定系システムをマルチテナントで共同利用する「NTTデータ地銀共同センター」をはじめ、利用中または利用予定の銀行が50行以上あり、この種のソフトでは国内最大規模で使われている。
同社はBeSTAのオープン基盤を提供することにした背景について、「金融機関をはじめとした市場でクラウド化が進むとともに、Fintechをはじめとするデジタルトランスフォーメーション時代を迎え、金融機関を取り巻く環境が大きく変化してきている。この環境に対応すべく、最新トレンドに追従するためにも、メインフレーム基盤のみならず、技術進歩が著しく、スタートアップ企業が提供するFintechとの連携が容易となるオープン基盤を提供することが必要と判断した」と述べている。
BeSTAのオープン基盤の特徴としては、まず「複数のラインアップを準備」。メインフレーム製品機能を最大限実装し、移行性を重視した基盤と、既存のオープン製品やオープンソースを発揚し、最新技術への追随を可能とするとともに、クラウド基盤も含めた幅広いアーキテクチャへの適用性を重視した基盤を準備するという。(図1)
また、「既存資産の徹底流用」。現在メインフレームで動作しているアプリケーションを、原則として変更せずに活用することによってコスト低減を図る。さらに、「既存システムと同様の高い信頼性と可用性を確保」といった点を挙げている。
同社では、こうした取り組みをもとに、今後は金融機関のみならず、他分野のメインフレームユーザーに対しても“進化”の提案を行っていけるようにしたいとしている。
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