「社内に“シリコンバレー流”をつくれ!」 デンソーが挑む変革のアプローチとは:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業は今、ビジネスの競争力強化に向けてデジタル変革によるイノベーションが求められている。だが、いったいどのようにアプローチすればよいのか。この問題について興味深い取り組みを聞いたので、今回はその話を取り上げたい。
企業競争力に向けて「ITとビジネスは車の両輪」
「社内に“シリコンバレー流”をつくれ」――。こう語るのは、デンソーの成迫剛志 技術開発センター MaaS開発部長兼デジタルイノベーション室長だ。デルとEMCジャパン(Dell EMC)が先頃開催した「Dell Technologies Forum 2018―Tokyo」の基調講演に、ゲストスピーカーとして同社のデジタル変革への取り組みについて語った際のひとコマである。
今回は、IT業界のキーパーソンの1人でもある成迫氏の話が、デジタル変革に取り組む多くの企業にとって、そのアプローチの仕方として参考になるのではないかと思ったので取り上げてみたい。
成迫氏はまず現状認識として、インターネットをベースに新しい技術がどんどん生まれて進化し、世の中を変えようとしている大変革期である今を「ITのカンブリア大爆発」と表現した。カンブリア大爆発とは生物の進化を表すターニングポイントで、カンブリア期に多くの生物が生まれてその後に進化していった現象を指す。同氏は「インターネットが商用化されて20年余りたつが、これからの進化は想像を超えるスピードで起きるのではないか」との見方を示した。
ITとビジネスの位置付けについても同氏は、「ITはこれまで業務プロセスを支援することで、ビジネスの生産性向上に寄与してきたが、これからのデジタル変革においては、ITとビジネスが車の両輪のような役割を果たさなければ、企業は競争力を発揮していけないだろう」との見解を示した。これはシンプルな説明だが、非常に重要なポイントである。(図1)
デンソーが生業とする自動車業界は今、「100年に一度の大変革期」といわれる。図2に示す「CASE」と呼ばれる4つの動きと、とくにその中の「S」のシェアリングが大きく影響を及ぼす、サービスとしての移動手段「MaaS」(Mobility as a Service)への期待が高まっているからだ。
そうした大変革に対し、デンソーは図3のような「未来のモビリティ社会」を描いている。図中に記されたさまざまな要素によって「ITとモビリティの融合」を図ることで実現する社会である。
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