転送が遅い、保守が煩雑、コストがかかる――クラウド移行の課題、ハイブリッドクラウドなら解決できるのか:Weekly Memo(2/2 ページ)
オンプレミスとクラウドの両環境を利用するハイブリッドクラウドに対する企業ニーズが高まる中、Microsoftが「真のハイブリッドクラウドを実現できるのは当社だけだ」と説く。果たして、どういうことか。
インタラクティブで一貫性のあるクラウド環境へ
一方、実際にクラウド移行に取り組んだ顧客企業からは、さまざまな課題も寄せられた。例えば、ファイルサーバとして使っている場合には転送速度や遅延時間、アプリケーションサーバの場合は運用管理やID管理、データベースサーバの場合はオンプレミスとクラウドの混在管理やコスト抑制・保守簡略化といった内容だ。
こうした課題に対し、浅野氏は「ハイブリッドクラウドを活用することで解決できる」と言い、図1を示しながら次のように説明した。
「競合他社の利用環境を表した左側の絵は、矢印が示すように一方向の移行しかできない。それに対し、当社の利用環境は認証やアプリケーション基盤、データベース、運用管理などがオンプレミスとクラウドの間を行き来できる。こうしたインタラクティブで一貫性のある利用環境こそが、真のハイブリッドクラウドだと考えている」
冒頭で紹介した発言は、この説明に続けて踏み込んだ浅野氏の“売り言葉”ともいえるが、今回、筆者がポイントとして挙げたいのは、同氏が語った「真のハイブリッドクラウド」のありようだ。筆者自身はハイブリッドの後に「クラウド」という言葉が続くことに違和感を持つが、いずれにしても今後、これまで以上に頻繁に使われるキーワードになるとみられるだけに、Microsoftの問題提起を今回のテーマとしておきたい。
ちなみに、Microsoftは真のハイブリッドクラウドを実現するオンプレミス環境の最新OSとして、「Windows Server 2019」を10月に発表した。浅野氏によると、Windows Server 2019は「オンプレミス環境とMicrosoft Azureをよりシームレスに連携できるOS」だと言う。例えば、Windows ServerのファイルシステムとAzureのファイルシステムを同期する「Azure File Sync」などの機能を備えているのが特徴だ。(図2)
こうしてみると、MicrosoftはWindows Server 2019を整備できたからこそ、「真のハイブリッドクラウド」を打ち出したともいえる。浅野氏はハイブリッドクラウドに対するニーズについて、「一気にクラウド移行するのはハードルが高い。そこでまずはハイブリッドクラウドの形にして、どこまでクラウド化できるかを見極めたいと考えるお客さまが増えてきている」とも語った。
その上で同氏は、「(Windows Server 2008のサポートが終了する)2020年1月までにWindows Server 2019の利用環境の80%をハイブリッドクラウドにしたい」との目標を掲げた。今回、Microsoftが問題提起したように、今後はハイブリッドクラウドの「品質」にも注目するようにしたい。
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