Microsoftは、「Amazonと戦う流通業者」の救世主になれるか:Weekly Memo(1/2 ページ)
Microsoftが流通業向けビジネスに注力している。今や同分野の巨大なディスラプターとなったAmazonと戦う流通業者たちを支える“対立軸”になれるか。
目指す姿は「インテリジェントリテール」
「“インテリジェントリテール”の実現に向け、消費者接点を起点とした施策を強力に推進していきたい」――。日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部流通サービス営業統括本部の成塚歩本部長は、同社が先頃開いた流通市場向けの取り組みに関する記者説明会で、意欲のほどをこう語った。
「インテリジェントリテール」は、流通市場に向けた同社の取り組みの最も重要なキーワードである。だが、その前に今回のテーマに取り上げた流通市場のデジタル変革を踏まえた現状を記しておこう。
図1が、流通業を取り巻く環境変化と技術トレンドを示したものである。上側の白い丸に記されているのが環境変化、下側の青い四角が最新のデジタル技術で、環境変化に対して最新のデジタル技術の適用が欠かせなくなってきていることを表している。ここに記されていないキーワードをもう1つ挙げておけば、消費行動の変化に伴う「オムニチャネル」の進展も大きな動きといえよう。
こうした市場の動きについて述べた日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部流通サービス営業統括本部の藤井創一インダストリーマネージャーは、グローバルで共通する同社の流通業向けビジネスについて、図2を示しながら説明した。言い換えれば、成塚氏の冒頭の発言にあるインテリジェントリテールへの取り組みである。
図2でインテリジェントリテールの下に記された4つの要素は、今後の流通業者におけるデジタル変革の方向性を示したものである。藤井氏は、「こうした方向性をしっかりと持ってデジタル技術を活用していくことによって、インテリジェントリテールが実現していく。私たちはそうした方向性とともに、それらを支えるクラウドとデータのプラットフォームと合わせて、お客さまを支援していく」と力を込めた。
インテリジェントリテールの実現に向けた具体的な施策としては、迅速で柔軟な店舗展開とデータ取得を促進する「Smart Store」、データ分析・活用による顧客理解とエンゲージメントを加速する「Smart O2O」といった2つのソリューションを提供していく。最新技術を用いたリファレンスアーキテクチャ(基本的な実現方式)をオープンな形で提供するSmart Storeの詳細については、日本マイクロソフトの発表資料をご覧いただきたい。
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