AI人材育成は小学校から始まるかも――政府が取り組む「AI人材戦略」の勘所とは:『ビジネス2.0』の視点
政府の「AI人材戦略」では、2025年には、トップクラスは年間100人、エキスパートは年間2000人、応用力人材は年間25万人を育成する目標を掲げています。
この記事は林雅之氏のブログ「『ビジネス2.0』の視点」より転載、編集しています。
政府は2019年4月18日、「総合科学技術・イノベーション会議(第43回)」を開催し、「AI戦略(人材育成関連)」について議論、検討を行っています。
その資料によると、AI時代に求められる人材育成に関する取り組みによって、デジタル社会の「読み、書き、そろばん」である「数理、データサイエンス、AI」の基礎といった必要な力を全ての国民が育み、あらゆる分野で人材が活躍する社会を目指しているとのことです。
主な取り組みとして「エキスパート」「応用基礎」「リテラシー」の3つに分類し、育成目標として、トップクラスの人材の育成は100人程度/年、エキスパートは2000人/年を、目指しているといいます。
リテラシー教育では、数理、データサイエンス、AIの定着に向けて、小学生から社会人まで各段階で長期的に取り組むとしています。具体的には、小学校と中学校におけるIT教育環境の整備、高校や大学におけるITやAIに関する学習内容の強化、認定制度や資格の活用の促進などです。
大学におけるリテラシーおよび応用基礎教育では、2025年までに全学生(50万人/年規模)が数理、データサイエンス、AIの基礎を習得可能となる大学教育へ改革を行うとしています。そして、AI×専門分野のダブルメジャー(2つの分野を専攻すること)の促進などによるAI応用力の習得を目指していくとしています。
エキスパート教育では、年齢を問わず先鋭的な人材が自由にその能力を開花、発揮でき、世界の優秀な人材を引き付ける、魅力的な環境の整備をしていくとしています。
著者プロフィール:林雅之
ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
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