クラウド導入をSIerに“丸投げ”するな――ガートナーが直言:Weekly Memo(2/2 ページ)
企業のIT化をSIerに“丸投げ”することが問題視されてきたが、それがクラウド化でも起きている――。今回はガートナーの名物アナリストである亦賀忠明氏のこんな直言を取り上げて考察したい。
自分でも勉強して使ってみることで“目利き力”をつけよ
さて、話を「丸投げ」に戻そう。亦賀氏は講演の中で「クラウドに関する違和感」として、図4に示すように8つの懸念事項を挙げた。企業にとっては、この8つともしっかりとチェックすべき項目だが、ここではその1つ目に注目したい。
そこに記されている「本物のクラウドであっても丸投げしようとし、想定外の見積金額を提示される」というのが、同氏が先に「丸投げなんかしたら、パブリッククラウドを採用する意味がなくなってしまう」と述べたことの「意味」である。
ポイントは「想定外の見積金額」だ。これについて亦賀氏は、「パブリッククラウドは割り切って初めてコストメリットを出せる。不用意にSIerへ丸投げすれば、従来型SIと同じやり方で全てに工数を乗せてくる」と説明した。
この説明をもう少し掘り下げよう。「パブリッククラウドは割り切って初めてコストメリットを出せる」とあるが、逆にいうと、従来の要件を何でもそのままRFP(提案依頼書)に入れていないか。要件が変わらなければクラウドにしてもコストは下がらないということである。
また、要件定義、設計、テスト、運用の工数がかかりすぎていることが多い。これについては、基本的なアーキテクチャはクラウドプロバイダーで標準化が進んでおり、クラウドデザインパターン(CDP)やレファレンスアーキテクチャを採用することで全体の工数を削減できる。従って、CDPなどを使うよう、あらかじめRFPに書いておけばよい。そこに工夫が見られないSIerは排除した方がよいだろう。
そのうえで亦賀氏は、「自分でもクラウドを勉強する。触って経験を積むことで“自分で運転”を徹底し、目利き力をつけることが重要だ」と強調した。要するに、企業がパブリッククラウドを採り入れたいならば、SIerに丸投げするのではなく、自分でも勉強して使ってみて“目利き力”をつけよ、というのが同氏のメッセージである。
筆者も同感だ。これはSIerでなく、ユーザー企業の姿勢について述べたものである。図4の右下には、こうしたクラウドに関する違和感から「1カ月以内にこのようなステージから、必ず卒業する」と記されている。ぜひ、多くの企業にチャレンジしてもらいたいものである。
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