基幹業務システムのクラウド移行が本格化するのか――日本オラクルが語るデータベースユーザーの動向:Weekly Memo(1/2 ページ)
日本オラクルがクラウド事業の強化に向けて、国内のデータセンター(DC)を拡充した。これによって、同社のデータベースをはじめとしたソフトウェアをオンプレミスで利用している企業はクラウドへ向かうのか。同社の幹部に聞いてみた。
基幹業務システムのクラウド移行を象徴するOracle Database
日本オラクルが先頃、クラウド事業の強化に向けて東京に続いて大阪にもデータセンター(DC)拠点を設けたことを発表した。これにより、同社が最新技術を駆使してコストパフォーマンスを追求したクラウドのフルサービスを、ディザスタリカバリー(DR)機能も合わせて利用できるようになった。
この新たな取り組みについては関連記事を参照していただくとして、筆者が気になったのは「これによって同社のデータベースをはじめとしたソフトウェアをオンプレミスで利用している企業がクラウドへ移行するのか」ということだ。
とりわけ、同社のデータベース「Oracle Database」をオンプレミスで利用する企業に注目するのは、大手を中心に多くの企業の基幹業務システムで利用されているからだ。つまり、Oracle Databaseのクラウド移行は基幹業務システムのクラウド移行を象徴する動きなのである。
日本オラクルへ企業のクラウド移行への動きについて取材を依頼したところ、執行役員 オラクル・デジタル担当の本多 充氏と、執行役員 クラウド事業戦略統括の竹爪慎治氏の話を聞けた。本多氏は中堅・中小企業向けクラウド事業を推進する営業組織「Oracle Digital」の責任者、竹爪氏は大手の企業の動きを知る立場である。
早速、単刀直入に今回の国内DCの拡充で既存の企業はオンプレミスからクラウドへ移行する動きが本格化するのか、聞いてみた。すると、竹爪氏は次のように語った。
「結論から言うと、クラウド移行の動きは間違いなく本格化する。ただ、その取り組み度合いは業種によって異なっている印象がある。例えば流通業や製造業のお客さまは、国内で私どものクラウドのフルサービスが利用できるようになったことで、移行を具体的に検討する機運が高まっている。またOracle Databaseは、クラウドで『Oracle Exadata』や『Oracle RAC』機能が移行を促す大きなきっかけになるという手応えを得ている」(竹爪氏)
ちなみに、Oracle ExadataはOracle Databaseを高速で利用できる専用機、RAC機能はOracle Databaseの信頼性や可用性を高める技術のことだ。竹爪氏はさらにこう続けた。
「一方、これまでクラウド利用に対して慎重だと見られていた金融や公共のお客さまは、東京に続いて大阪のDC拠点を使えるようになり、DR環境が整備できるようになったことで、こちらも移行に向けた機運が高まってきたと感じている。さらに、どの業種もデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが始まっており、Oracle Cloudを活用したいという要望を数多くいただいている」(竹爪氏)
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