「RPA」はエンタープライズアーキテクチャにおいて“ナニモノ”か:Weekly Memo(1/2 ページ)
定型業務を自動化するRPAが日本企業で幅広く使われるようになってきた。その現状と今後の方向性について、最新の調査やキーパーソンの発言から探ってみたい。
大手企業では過半数に達したRPA導入率
まずは、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の現在の利用状況から見てみる。RPAを「主にデスクワークなどで発生する定型作業を、PCの中にあるソフトウェア型のロボットが代行、自動化する技術」と定義しているMM総研が先頃、国内のRPA利用動向を調査した結果を発表した。
この調査は、国内で利用されている主要17製品を対象に導入状況や浸透率、各種満足度、今後の利用意向などを分析したものだ。年商50億円以上の国内企業(全業種のIT部門や企画部門の担当者)にオンラインでアンケートを実施。調査期間は2019年11月5〜11日で1021社から回答を得た。
調査結果によると、社数ベースのRPA導入率は、図1に示すように全体で38%だった。2018年6月時点では22%だったことから、約1年半で16ポイント増加した。導入率を企業規模別にみると、年商1000億円以上の大手企業は51%、年商50億円以上から1000億円未満の中堅中小企業は25%だった。
次に、大手企業におけるRPAブランド別の浸透率を示したのが図2だ。浸透率は、企業内でのRPA展開度合を測る指標で部門数やPC台数、従業員数などで測定している。図2の浸透率は部門ベースで、RPA導入企業が設置している部門数を分母、RPAを利用している部門を分子として計算している。
その結果では、「UiPath」が45%と最も高い浸透率だった。「ユーザー、パートナー企業へのサポートとAI(人工知能)などの組み合わせや運用管理といったエンドツーエンドのソリューションが奏功している」とMM総研は分析している。次いで「BizRobo!」が40%、「WinActor」が38%だった。ただし、この結果を導入社数ベースで比較すると、1位はWinActor、2位がBizRobo!、3位はUiPathだったとしている。
同調査は、AIの導入率も調べている。結果は、図3に示すように全体で36%だった。2018年6月時点では26%だったことから、約1年半で10ポイント増加した。先述のRPAほどではないが、着実な伸びを示している。
AI導入率をRPA導入段階別(「RPA導入企業」「準備・検討中企業」「未導入企業」の3区分)で比べると、RPA導入企業では77%に達するが、準備・検討中企業では12%、未導入企業では9%にとどまった。
MM総研はこの結果から「RPAを活用する企業とそうではない企業で、AIをはじめとするデジタル活用の差が顕著に表れた。RPA導入企業は、AI-OCRやチャットbotをはじめ、さらなる業務自動化に向けた追加投資も始まっている」と指摘している。
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