なぜコロナ対策でRPAが“引っ張りだこ”なのか? 国や自治体で導入進む:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業や行政機関がコロナ対策としてRPAを導入する動きが活発になってきた。なぜ、コロナ対策でRPAが引っ張りだこなのか。この市場をリードするUiPathへの取材をもとに考察してみた。
UiPathが説く「コロナ対策におけるRPA活用法」
政府が2020年5月20日、UiPathと協力して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策にRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を活用することを発表した。(以下、本稿では「コロナ対策」と表記する)この動きが象徴するように、企業や行政機関がコロナ対策としてRPAを導入する動きが目立ってきた。なぜ、コロナ対策でRPAが引っ張りだこなのか。今回はこの点について、UiPathへの取材を基に考察した。
政府による発表後、UiPathはビジネスの勢いを加速するように、新製品群を発売した。その発表会見で、同社のCEO(最高経営責任者)である長谷川 康一氏は、コロナ対策について、図1を示しながら次のように説明した。
「日本は今、コロナ対策で安全と経済を両立させなければならないという難しい局面を迎えている。ただし、今の危機意識が根本的な発想の転換を可能にすると私たちは考えている。例えば、紙を必要とする商習慣や印鑑が必要な契約形態といった過去のしがらみを超えて変革できる機会だと捉えている」
また、図2を示しながら、次なる取り組みについて以下のように述べた。
「そうした機会において、局所的にデジタルツールを導入しても効果は限定的だ。個別の対症療法で終わるのではなく、次世代の業務の流れを実効的につくり上げていくべきだ。そうすると、前提を見直したエンドツーエンドの最適な業務の構築と、実効的なRPAやAI(人工知能)と既存システムを組み合わせたデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現できるようになる」
長谷川氏はUiPathが提供できることとして、図3を示しながら「『ロボットフォーエブリパーソン』と『ハイパーオートメーション』によって、新しい働き方の実現を支援していきたい」と、同社のビジョンを強調した。
ロボットフォーエブリパーソンとは「従業員一人一人がロボットを使いこなす」という意味だ。また、ハイパーオートメーションは「機械学習を含むAIや自動化ツールを複数組み合わせて一連の仕事を実行する概念と実装」ということで、同社の製品群はこうしたビジョンと概念から成り立っている。
長谷川氏は図3について、「在宅勤務中の従業員のロボットがハイパーオートメーションにより、AI-OCRや電子契約、既存システム、IoT(モノのインターネット)、チャットbotとつながり、リモート接続先のオフィスや工場、倉庫で圧倒的なパフォーマンスを提供することを描いている」と説明した。
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