なぜコロナ対策でRPAが“引っ張りだこ”なのか? 国や自治体で導入進む:Weekly Memo(2/2 ページ)
企業や行政機関がコロナ対策としてRPAを導入する動きが活発になってきた。なぜ、コロナ対策でRPAが引っ張りだこなのか。この市場をリードするUiPathへの取材をもとに考察してみた。
ポストコロナに向けて価値観が大きく変わりそうなRPA
ただ、会見での長谷川氏の話では、コロナ対策におけるUiPathの取り組みは聞けたものの、「なぜコロナ対策にRPAが引っ張りだこなのか」については明確な説明がなかった。そこで会見の後日、改めて同社の鈴木正敏氏(CRO:最高売上責任者)に取材を申し入れたところ、同社の松本大氏(セールス&マーケティング統括本部 通信・公共営業本部 本部長)とともに応じてくれた。
鈴木氏は、コロナ対策にRPAが求められている理由について、次のように説明した。
「コロナ対策で在宅勤務が続く中、従業員がRPAを使ってリモートでオフィスのルーティンワークを自動的に処理するように指示し、管理することによって、全体の業務の流れを止めずに済む。RPAによって負担が軽減された従業員は、クリエイティブな作業により多くの時間をとれるようになる」(鈴木氏)
オフィスで適用するRPAを「リモート」でも支障なく指示し、管理できるという点がポイントだ。
「コロナ対策という緊急事態では、人手が足りない中でさまざまな業務が発生する。行政機関のコロナ対策がまさしくそうで、スピーディーな対応が求められている。そこで、そうした業務をRPAで代替することでニーズにお応えしている。複数の自治体に加え、このたび政府もお手伝いすることになったのは、コロナ対策にRPAが有効であることの証左だと確信している」(鈴木氏)
日本政府との交渉役を担う松本氏は「政府には2020年3月から海外でのコロナ対策におけるRPAの活用事例をご説明し、お役に立てることを提案してきた。これから大いに期待に応えていきたい」と意気込みを語った。同社にとってはまさしくエポックメイキングな出来事だけに、士気も大いに上がっているようだ。
実は、本連載では3カ月前にも「RPAはエンタープライズアーキテクチャにおいて“ナニモノ”か」(2020年3月9日掲載)と題し、RPAの本質について考察した。その際も取材に応じてくれた鈴木氏は、「エンタープライズアーキテクチャの標準化や自動化に向けた『ラストワンマイル』を埋めるのがRPAの役割」と述べていた。
しかし、このときはまだコロナ対策が話題に上っていなかった。そこで、鈴木氏に改めてポストコロナを見据えたRPAの在り方について聞いてみた。すると、同氏は次のように答えた。
「今回のコロナ騒動を契機に、RPAに対する見方が変わるのではないか。これまでRPAは自動化をキーワードにROI(投資対効果)を高めるためのツールと見られてきたが、これからは従業員の安全を守りながら事業を継続していく上で自動化が不可欠になっていくという手応えを強く感じている。従って、経営陣にとっても従業員一人一人にとっても欠かせないものになるだろう」
どうやら、RPAの価値はポストコロナに向けて大きく変わりそうだ。
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