シリコンバレーの投資家が注目する「アフターコロナ時代の技術トレンドとビジネスモデル」とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
アフターコロナ時代の技術トレンドとビジネスモデルは、これまでとどう変わるか。多くの急成長企業を支えてきた実績を持つ米国シリコンバレーの投資家が、このテーマについて講演した。その中から筆者が印象深かった話を取り上げたい。
オートメーション技術や遠隔医療の分野で注目の企業とは
テーマは「アフターコロナ時代のテクノロジートレンドとビジネスモデル」、講演者は実績のある米国シリコンバレーの投資家――。そんな講演があると聞くと、思わず取材したくなる。ということで、日刊工業新聞社のモノづくり日本会議が主催したオンライン講演会の特別講演を、同事務局の承諾を得て取り上げる。
講演者は、Pegasus Tech Ventures(ペガサステックベンチャーズ)の共同代表パートナー兼CEO(最高経営責任者)を務めるアニス・ウッザマン氏だ。同社はシリコンバレーを拠点に日本を含めて世界16カ国で事業を展開し、IT分野を中心にこれまで170社以上のスタートアップへの投資実績がある。
ウッザマン氏は東京工業大学工学部開発システム工学科(現・国際開発工学科)を卒業後、オクラホマ州立大学工学部で電気情報工学の修士を、東京都立大学工学部情報通信学科で博士を取得した。その後、IBMを経て2011年に現在の会社を設立した。こうしたキャリアをベースとした「ITの目利き」に加えて「日本通」でもあり、本講演も流ちょうな日本語でこなした。
同氏はまず、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な流行)の影響で、業界や技術分野によって明暗が分かれたことを指摘。自動車業界や旅行関連(宿泊、航空を含めた運輸、飲食サービスなど)の業界が大打撃を受ける一方、各種の自動化技術やオンライン会議システム、遠隔医療、宅配サービス、eラーニングの分野などは需要が急拡大していると説明した。
同氏は講演で、需要が急拡大する分野から、アフターコロナを見据えて同氏が注目する企業を20社ほど紹介した。本稿では、その中から筆者が印象深かった企業の話を5つ取り上げたい。
1社目は、オートメーション技術で人手不足を解消するKindred(キンドレッド)だ。AI(人工知能)とロボットによる最先端技術を使って、生産拠点や物流拠点で多種多様な商品を的確に分別、ピッキングする技術を開発した。同社は、この技術を商品管理の仕組みと合わせた無人化システムとして、クラウドサービスを活用して提供しているという。使いやすいサービス形態と、「ロボットは新型コロナに感染しない」とのウッザマン氏のコメントが印象に残った(図1)。
2社目は、遠隔医療でAIと医師による診断を手軽に提供する98point6(ナインティエイトポイントシックス)だ。診察の際は、オンラインでAIのアシスタントが簡単なスクリーニングを質問形式で実施した後、状況に応じて主治医につなげて診断する。ウッザマン氏もこのサービスを利用しているとのことだ。在宅医療の1つの形態として定着しそうだ(図2)。
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