2025年までに全社員を“スーツを着たオタク”に育てる NTTデータ社長が語ったDX人材計画:Weekly Memo(1/2 ページ)
DXを推進する人材には何が求められるのか。NTTデータの本間社長は「スーツ・ギーク人材」というキーワードを挙げた。2025年までに全社員を対象に目指す、同社のDX人材育成像とは。
NTTデータが2021年1月28〜29日、「デジタルで創る新しい社会」をテーマに、自社イベント「NTT DATA Innovation Conference 2021」をオンラインで開催した。その主催者講演で、同社代表取締役社長の本間 洋氏が説いた「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する人材像」についての話が非常に興味深かったので、ここで取り上げたい。
DXを推進する人材が求められるようになってきた背景とは
本間氏はまず「ITを推進する人材」について次のように話した。
「当社はおよそ10年前、野村総合研究所(NRI)と共同で、今後のITを推進する人材像として『スーツ・ギーク人材』が求められるようになると提言し、これまで人材育成に取り組んできた」
ビジネスパーソンが着るスーツから思い浮かぶように、ここでいうスーツは「ビジネスのプロフェッシナル」を指す。ギーク(geek)はもともと英語で「オタク」を意味する俗語だが、ここでは「技術のプロフェッショナル」の意味で、「スーツ・ギーク人材」はビジネスと技術の双方が分かる人材を指す(図1)。
その上で、同氏は「この10年でITの役割や位置付けが大きく変わってきた」として、次のように説明した。
「従来のITは既存の業務を合理化、効率化するための手段だった。これに対し、最近のITは既存業務のさらなる効率化、自動化とともに、新しいサービスや商品、ビジネスモデルを創造するための手段になってきている」
同氏はさらに、こう続けた。
「ここ数年、SMACS(ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウド、セキュリティ)と呼ばれるデジタル技術が広がり、今では、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)、ロボティクス、ビッグデータ、ブロックチェーン、5G(次世代移動体通信)といった新たな技術も使えるようになって、さまざまな事象を迅速にデータ化できるようになってきた」
そこで今、求められているのが「DXを推進する人材」というわけだ。
上記のようなITの役割の変化やデジタル技術の広がりを受け、ITを推進する人材として求められてきたビジネスのプロフェッショナル(スーツ)は、これまで以上にITやデジタルの活用力を高め「現状の業務やビジネスにとらわれない新しいアイデアや価値を創出していくことが求められている」(本間氏)という。
技術のプロフェッショナル(ギーク)は、ITやデジタルの技術力をさらに高める必要がある。「得意とする技術を高め続けるだけでなく、新しい技術の習得や複数の技術を応用する力も求められている」と、本間氏は話す(図2)。
一方、本間氏によれば、いわゆるスーツ・ギーク人材がDXの戦力になるには、別の力を兼ね備える必要があるという。それは何か。
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