2025年までに全社員を“スーツを着たオタク”に育てる NTTデータ社長が語ったDX人材計画:Weekly Memo(2/2 ページ)
DXを推進する人材には何が求められるのか。NTTデータの本間社長は「スーツ・ギーク人材」というキーワードを挙げた。2025年までに全社員を対象に目指す、同社のDX人材育成像とは。
「スーツ・ギーク人材」を「DX人材」に羽化させるための要素とは
DXを推進する人材とは、すなわち「スーツ・ギーク人材」が進化した形というのが、これまでの本間氏の説明だ。しかし、同氏はさらに、DXを強力に推進するためには別の力が求められるとも話した。
それが「デザイン力」だ。ここでいうデザインとは「さまざまなステークホルダーの視点に立ち、アーキテクチャに裏付けられた横断的、総合的に整合した新しい社会の仕組みを創ること」(本間氏)だ。
それを踏まえて、スーツ・ギークとデザインの力を兼ね備えた人材に求められるものは何か。本間氏は、「人を中心に新しい価値を考える」「さまざまなステークホルダーの視点で考える」「実現性のあるアーキテクチャを考える」といった3つの能力を挙げ、それらを併せ持つ人材を「アーキテクト」と呼んだ(図3)。
本間氏は、企業のDXにおいて、これから望ましい姿とは「ビジネスに軸足を置くアーキテクトがDXに取り組む企業側、技術に軸足を置くアーキテクトがITベンダー側にいて、お互いに横断的な視点を持って連携することで不足するケイパビリティを補完し、共に新たな価値を創出していくことだ」と述べた(図4)。
NTTデータは、アーキテクトも含めたデジタル人材を、図5に示すように「デジタルコア人材」「デジタル専門人材」「デジタル活用人材」と3つのタイプに分類している。社内のデジタル人材育成に向けては、デジタル技術部門が実施している研修の受講によるリスキルといった取り組みを進め「NTTデータグループ全体で、2025年までにデジタル人材100%化を目指す」(本間氏)としている。
また、同社では顧客企業のDXを推進する人材の育成を支援する取り組みも行っている。図6に示すように、DX推進に必要なビジネスと技術の双方をカバーした研修プログラムを提供。さらに、同社から顧客企業にデジタル人材やCDO(最高デジタル責任者)を派遣する活動にも注力しているという。
同社のこうした取り組みは、DXを推進する人材の育成や支援を行うITベンダーとして先進的だと思われる。
あらためて、スーツ・ギーク人材、さらにアーキテクトについては、どの企業も人材不足に頭を悩ませているところだ。今回の本間氏の話も、見方を変えれば、10年前から問題点として取り上げられながら、今も多くの企業が解消できないでいるどころか、さらに深刻化している状況だ。
しかし、ニューノーマルの時代に向けては、いよいよDXを推進する人材が前面に出ていかないと、企業の存続に関わる事態になってきたと言っていい。その意味で、どの企業にとっても2021年は正念場になるだろう。
【修正のお知らせ】公開当初、イベント名称を「NTT DATA Innovation 2021」と表記していましたが、正しくは「NTT DATA Innovation Conference 2021」でした。修正しお詫びいたします(2021年2月3日 18時25分 編集部)
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