NEC「コアDX事業」強化 業種・業態を超えたデジタルシフト推進の狙いとは?
NECは、成長事業に位置付ける「コアDX事業」の強化を発表した。デジタルプラットフォーム「NEC Digital Platform」や専門人材、エコシステムなどを強化する他、顧客価値や企業価値創出に向けたCX領域のオファリングも提供する。
NECは2022年10月3日、顧客の業界を超えた再編やデジタル経営変革に向けた「コアDX事業」の強化を発表した。NECは従来進めてきたDXの取り組みを「2025年中期経営計画」で「コアDX事業」として成長事業に位置付け、ベース事業を変革する梃(てこ)とするとしている。
今回の強化によって、データを起点とした顧客の経営変革や、コアDX事業の核となるデジタルプラットフォーム「NEC Digital Platform」、組織や人材の強化に取り組む。CX(カスタマーエクスペリエンス)領域など、Purpose起点のオファリングも新たに提供する。
コンサルタントとデータサイエンティストがリードするデジタル経営変革
NECはこれまで、コンサルタントやデータサイエンティストなど約5800人のDX(デジタルトランスフォーメーション)人材がDX戦略構想策定から導入、運用まで支援し、行政や企業におけるデジタル経営変革を顧客と進めてきた。
今回新たに、企業や社会が保有するデータを活用することで、業種や業態を超えた拡大経済圏の形成と社会全体のデジタルシフトに向けて、CX領域のオファリングの提供を開始する。
2025年度までに1万人をデジタルシフト NEC Digital Platformを強化
NECは、膨大なデータを安全に活用するために重要なサイバーセキュリティ事業の強化を通じてNEC Digital Platformの拡充を図る。具体的な取り組み内容は次の通りだ。
企業が保有するさまざまなデータの分析結果を基にサイバーセキュリティに関する経営判断、プロセス改革を支援する「データドリブンサイバーセキュリティ事業」を立ち上げる。
同事業の一環として、高度なセキュリティ専門資格を有する「サイバーセキュリティデータサイエンティスト」を新たに定義するなど専門人材を強化する。専門人材による高度な監視分析からテクニカルコンサルティング、サービスデリバリーまでトータルでサポートする「セキュリティCoE(Center of Excellence)」を設置して体制を強化する。
パートナー協業によるエコシステムの構築によって、企業経営に直結するサイバーセキュリティリスクに対応する。クラウドやネットワーク、エンドポイント、脆弱(ぜいじゃく)性管理などの各セキュリティ領域における戦略パートナー5社との協業を強化し、オファリング共創、チャネル連携、サービス基盤を共同開発する。
NECグループの知見と協業パートナーとのエコシステムによって、顧客の事業運営サイクルに伴走するサービス提供を実現するとしている。
これに加えて、NECグループで進めるリスキリングによるDX戦略コンサルタントの増強(2023年度までに500人に増加)など、2025年度までに1万人の目標に向けて、事業成長と連動した社内人材のデジタルシフトを進める。
グローバルパートナーシップと戦略的ビジネスの拡大
さらなるパートナーとの共創強化に向けて、クラウド領域における「グローバルアライアンスCoE」を設置する。グローバルパートナーとの共創を加速し、顧客のDX加速に向けた技術提供やオファリング開発を進める。
NECは、AmazonとGlobal Optimismが共同で立ち上げた、パリ協定の目標より10年早く2040年までのネットゼロカーボン達成を約束する「The Climate Pledge」(気候変動対策に関する誓約)に2022年9月に署名した。今後は、自身における経験やノウハウに基づき、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域についてもオファリング化を進め、Purposeや価値起点の新規オファリング展開に取り組むとしている。
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