オブザーバビリティに先進的な日本企業はわずか1% Splunk調査
Splunkの調査では、日本がオブザーバビリティの分野で遅れが目立つこと、高いオブザーバビリティを持つ組織がダウンタイムの解決や問題検出、修復時間の短縮などで優れた成果を挙げていることなどが判明した。
Splunkは2023年5月30日(現地時間)、企業のオブザーバビリティ(可観測性)に関する調査レポート「オブザーバビリティ調査レポート2023」を公開した。複雑な技術環境を管理する上でオブザーバビリティが果たす役割を調査した。
SplunkとEnterprise Strategy Groupが共同で実施している同調査は今回で3回目となる。オーストラリアやカナダ、フランス、ドイツ、インド、日本、ニュージーランド、シンガポール、英国、米国の従業員500人以上の組織を対象とし、オブザーバビリティを担う現場の担当者や管理者など合計1750人(日本からは200人)にアンケートした。
オブザーバビリティに先進的な日本企業はわずか1%
オブザーバビリティ調査レポート2023では、調査対象の企業を「ビギナー組織」「成熟度が中程度の組織」「成熟度が高い組織」「リーダー的組織」の4つのレベルに分類している。
同調査は、オブザーバビリティの実践経験が24カ月以上の組織を「リーダー的組織」と定義した。リーダー的組織の条件としては、全てのオブザーバビリティツールでの「データの相関付け」オブザーバビリティツールセットでの「AI(人工知能)/機械学習の活用」、オブザーバビリティ専門の担当者数を基準とする「専門スキル」、クラウドネイティブと従来型の「両方のアプリケーションアーキテクチャへの対応」「AIOpsの導入」の5つの領域で最高レベルに達していることも求められる。
オブザーバビリティ調査レポート2023の主な調査結果は以下の通りだ。
- オブザーバビリティのリーダー的組織では「予想外のダウンタイムを数分以内に解決できる」と回答した割合はビギナー組織の4倍に上った。ダウンタイム時のコストは高額であり、オブザーバビリティが大幅なコスト削減につながっている
- オブザーバビリティのリーダー的組織では1年間に発生する障害の平均件数が2件だった(ビギナー組織の平均件数は6件)
- オブザーバビリティのリーダー的組織では「アプリケーションの可用性とパフォーマンス要件の対応に自信がある」と回答した組織は89%に達しており、ビギナー組織の3.9倍だった。
- オブザーバビリティの向上によって、80%強の組織が問題の検出と修復時間の短縮を実現した
- オブザーバビリティの向上によって、81%の組織がハイブリッド環境の可視化を実現した
- 調査対象組織が使用するビジネスアプリケーション数は平均で165個だった。こうしたアプリケーションの数は増加を続けている
- 調査対象組織が使用するビジネスアプリケーションの約半数はパブリッククラウドで、残り半数がオンプレミスで運用されていた
- 調査対象組織の多くがオブザーバビリティの実践において「AIOpsツールが従来のソリューションの価値を上回る」と回答した
その他、今回の調査結果は日本が世界と比較してオブザーバビリティの面で遅れていることも明らかにした。日本においてオブザーバビリティのリーダー的組織はわずか1%にすぎず(世界の他国の平均は11%)、ビギナー組織が48%を占めている(同31%)。
一方で、日本企業は自社製アプリケーションのモダナイズには積極的であり、アプリケーション開発にオブザーバビリティが追い付いていない状況が示されている。
Splunkはオブザーバビリティがもはや一部の先進的な組織が導入する新しい概念ではなく、今日の複雑な技術環境を可視化するために欠かせない存在だとし、オブザーバビリティが障害の防止やアプリケーションの信頼性の向上、収益の拡大、カスタマーエクスペリエンスの改善、デジタルレジリエンスの確立に役立つと説明した。
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