富士通、NEC、NTTデータの最新受注状況から探る「国内IT需要の行方」:Weekly Memo(1/2 ページ)
今後の国内IT需要はどう動くか。富士通やNEC、NTTデータのITサービス大手3社の最新受注状況から探る。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展とともに生成AI(人工知能)ブームなどで活気づく国内のIT市場。ただし、不安定な国際情勢が国内景気に悪影響を及ぼす可能性もある。今後の国内IT需要はどう動くか。富士通やNEC、NTTデータグループ(国内事業会社は「NTTデータ」)のITサービス大手3社が相次いで発表した2023年度(2024年3月期)第1四半期(2023年4〜6月)の決算から受注状況に注目し、見通しを探る。
「デマンドは今後もしばらく強い状態が続く」(富士通)
富士通が2023年7月27日に発表したITサービスにおける第1四半期の国内受注状況は、全体で前年同期比118%と大きく伸長した。
業種別では「パブリック&ヘルスケア」(官公庁・自治体・医療)が同134%、「ファイナンスビジネス」(金融・保険)が同124%と大きく伸び、「エンタープライズビジネス」(製造業などの産業・流通・小売)も同107%と伸長した。一方、「ミッションクリティカル 他」は同92%と減少した(表1)。
この受注状況について、同社の磯部武司氏(執行役員SEVP/CFO)はオンライン会見で次のように説明した。
「全体で大きく伸びたのは、DXおよびモダナイゼーションを中心に商談が広がったからだ。業種別では、パブリックにおいて官公庁向けに次期システムの刷新案件を複数獲得した。これまでコロナ禍の影響を大きく受けていたヘルスケアも電子カルテや医療情報システムの大型更改案件が動き出した。ファイナンスビジネスでは、金融機関向け基幹システムの大型商談に加え、新紙幣対応の案件なども獲得した。エンタープライズビジネスは、サプライチェーンのDX推進や基幹システムの刷新案件を中心に堅調に推移した。一方、ミッションクリティカル領域が減少したのは、前年同期で大型受注があった反動で、通期では前期を上回る見通しだ」
磯部氏は、今後の需要については「第1四半期の受注状況から、特定の領域が突出して好調というよりは、全般としてDXやモダナイゼーションの案件が活況になっている感触を得ている。現状のパイプラインの状況からしてもこうしたデマンドは今後もしばらく強い状態が続くと見ており、それに応える体制をしっかりと組むことが非常に重要だと考えている」との見方を示した。
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