アクセンチュアが進める「デジタルツイン・エンタープライズ」とは何か? “ユーザー企業にとっての勘所”を探る:Weekly Memo(2/2 ページ)
アクセンチュアが製造・物流企業の「デジタルツイン・エンタープライズ」の実現に向けた動きを起こした。これまでデジタル化が進んでいなかった製造・物流の領域を対象にして同社が掲げるデジタルツイン・エンタープライズとは何か。利用する企業にとっての勘所はどこにあるのか。新たな動きから探る。
アプリが決め手になりそうなデジタルツイン・エンタープライズ
では、デジタルツイン・エンタープライズの勘所はどこにあるのか。
この点については、アクセンチュア インダストリーX本部 マネージング・ディレクターで合弁会社AAAの社長に就任した岩佐知厚氏が、次のように語った。
「経営データと現場データを接合させることで、エンド・ツー・エンドでデジタルツイン・エンタープライズが実現でき、広範な経営命題に対してデータに基づいた、正確で迅速な意思決定が可能になる」(図2)
さらに、岩佐氏はデジタルツイン・エンタープライズのインパクトについて、「環境の変化が大きく先の読みにくい時代において、勘やコツ、経験に依存した意思決定は競争劣後を招く場合がある。これに対し、デジタルツイン・エンタープライズによって得られる正確で迅速な深い洞察は、圧倒的な競争力強化をもたらす」と述べた上で、次のように予見した。
「2024年はデジタルツイン・エンタープライズによる快適なイノベーションの元年になる」(図3)
つまり、企業にとっての勘所は「正確で迅速な意思決定が可能になることで圧倒的な競争力強化をもたらすとともに、快適なイノベーションを生み出せるようになる」といったところか。
ただ、製造・物流企業のデジタルツイン・エンタープライズについては、その競合状況にも目を向ける必要がある。Mujinが推進しているような自動化プラットフォームは、FA(ファクトリー・オートメーション)ベンダー大手各社も手掛けており、それぞれにITベンダーと協業して激しい勢力争いを繰り広げている。そうした中で、アクセンチュアとMujinの合弁事業は存在感を発揮できるのか。
会見の質疑応答でこう聞いたところ、Mujinの滝野氏は「当社が開発に使用しているソフトウェア技術は全て汎用(はんよう)のもので、他社の自動化機械とも連携可能だ。しかもさまざまな用途に向けたアプリケーションを多くのお客さまに使っていただくことによって、それらに共通する自動化プラットフォームも広がるという相乗効果が生まれている。さらに、システムとしてのコストパフォーマンスの高さもお客さまから評価をいただいている。そうしたことから、当社は確実にこの分野で変革を起こしつつあるという手応えを実感している」と力を込めて答えた。
アプリケーションの普及がそれを支えるプラットフォームの広がりにつながるという同氏の説明は、非常に興味深い。考えてみれば、デジタルプラットフォーマーといわれるAmazon、Google、Microsoftも、AmazonはEコマース、Googleは検索、MicrosoftはOfficeといった圧倒的な人気を誇るアプリケーションを保持している。となると、デジタルツイン・エンタープライズもアプリケーションが決め手になるかもしれない。
著者紹介:ジャーナリスト 松岡 功
フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT/デジタル」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身
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