HPEが掲げる「脱モノ売り」の事業方針 SIer各社のビジネスモデル転換の背景に迫る:Weekly Memo(1/2 ページ)
2025年のIT業界では、従来の「モノ売り」から「サービス提供」へのビジネスモデル転換が本格化しそうだ。キーワードは継続課金を意味する「リカーリング」だ。ユーザー企業も注視すべき動向をHPEの事業方針から読み解く。
「われわれは今後も一層『HPE GreenLake』に注力する」
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)日本法人の日本ヒューレット・パッカードで代表執行役員社長を務める望月弘一氏は、同社が2024年12月12日に開いた今後の事業方針に関する記者説明会でこう強調した。
「モノ売り」から「サービス提供」へ ビジネスモデル転換がもたらす影響は?
事業方針のスローガンは「Leading edge-to-cloud company」だ。望月氏はその意味について、「HPEはかねて『edge-to-cloud companyになる』と宣言してきた。すなわちエッジもオンプレミスもクラウドも含めたハイブリッドなITインフラを提供する会社になるというものだ。そして2024年度(2024年10月期)にこの分野のリーダーになると宣言した。今後もそのポジションにこだわりたい」と話した。
また、ITベンダーとしてのこのスローガンの目的として、「ベンダーニュートラル、クラウドニュートラルな『第三極のクラウドプラットフォーム』を提供し、お客さまのビジネス変革と持続可能な社会に貢献する」ことを掲げる(図1)。ここで言う「第三極のクラウドプラットフォーム」が、同社のハイブリッドクラウド向けサービス「HPE GreenLake」(以下、GreenLake)である。
このGreenLakeの推進こそが、HPEにとっては従来のモノ売りからサービス提供へのビジネスモデル転換へのチャレンジになる。それについて解き明かす前に、HPEが今回発表した事業方針の中からGreenLakeに関する取り組みをピックアップする。
望月氏は、まず「今、日本の企業ではデータ駆動型トランスフォーメーションが求められている」と話した。「データ駆動型トランスフォーメーション」とは、データを活用した企業変革を意味する。そして、その変革を推進するための課題として、次の3つの技術領域と課題の内容を挙げた(図2)。
- ネットワーキング: データを接続して保護するにはどうすればよいか
- ハイブリッドクラウド: ITの複雑さを軽減し、コストを制御するにはどうすればよいか
- AI: データを活用してより多くの情報に基づいて意思決定するにはどうすればよいか
「これら3つの領域における課題に対し、HPEはそれぞれに的確なソリューションを提供する」と述べた望月氏は、各領域へのソリューションのポイントとして、「ネットワークは、インテリジェントエッジに必要なセキュアネットワークを提供する」「ハイブリッドクラウドは、『Hybrid Cloud by Design』の実現を支援する」「AIは、AIのライフサイクル全体にソリューションを提供する」といった点を挙げた。
ちなみに「Hybrid Cloud by Design」は、「成り行きでできあがったハイブリッドクラウドではなく、ハイブリッドクラウドを自らデザインする」(望月氏)とのメッセージを込めた取り組みのことだ。
そして、この3領域のソリューション群を包含するのがGreenLakeだ。望月氏は、「これによって、最適化されたITインフラを『アズ・ア・サービス』で提供している。GreenLakeによって目指すのは、お客さまがデータ駆動型トランスフォーメーションを実現することだ」と、改めてユーザーニーズに応えることを強調した(図3)。
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