東京都町田市、議事録作成にかかる時間を96%削減 どうやって実現したのか
東京都町田市が「議事録サポートAI」を導入した。高精度な音声認識技術によって議事録作成を効率化でき、試験導入段階で96%の作業時間を削減した。
町田市は2024年11月に「議事録サポートAI」を導入した、ボイスレコーダーやWeb会議アプリで記録した音声データをAI音声認識技術で文字データに変換するもので、これまで42時間かかっていた有識者会議の議事録作成作業を110分まで短縮できた。
削減率約96% どんなツールがベース?
試験導入段階では市の有識者会議での議事録作成に活用され、作業時間を約96%削減する成果を上げた。正式導入以降は1カ月間で約200時間分、350回分の音声データを議事録化し、市政業務の効率化に寄与した。この成果は、職員の負担軽減だけでなく、スピーディーに議事録を公開でき市のサービス向上にも貢献しているという。
議事録サポートAIは連携協定を結んでいるNTTデータと構築した。録音した会議音声をシステムに登録するとOpenAIの音声認識AI「Whisper」でテキスト化される。出力したテキストは「ChatGPT」(モデルはGPT 4o)で要約することで議事録の要旨や企画書などの作成に使える仕組みだ。
生成AIの利用に当たっては「町田市ジェネレーティブAI利活用ガイドライン」に準拠している。WhisperやChatGPTは町田市専用の「Azure OpenAI Service」環境を用意して利用することでセキュリティを確保している。入力された情報がOpenAIのモデル学習に使われることはない。
「町田市ジェネレーティブAI利活用ガイドライン」は、町田市が生成AIを安全かつ効果的に活用するために策定した指針であり、情報セキュリティやプライバシー保護に重点を置いている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ウエルシア薬局、AI導入でカスタマーサクセス業務を90%効率化 何をしたのか?
ウエルシア薬局はAIの導入で顧客対応業務の工数を90%削減することに成功した。AI技術で顧客の声を分析して商品改善案を改善、プライベートブランド商品の開発や広告戦略を効率化させている。
電通デジタル、「CAIO」設置でAI活用支援を強化 横断組織を組成
電通デジタルが2025年1月1日付でCAIOおよびCSOを新設する。CAIOには山本覚氏、CSOには岡田将氏が就任する。
日本企業のデータ活用とDX推進に見る「格差」 取り残される企業は
IDC Japanが実施した調査により、データ活用とデジタルトランスフォーメーションにおける企業間の格差が明らかになった。先進企業は積極的なデータ活用を行っているが、2割ほどの遅行企業は取り組みが遅れている。
AI基盤構築を丸ごと支援するオファリング「NebulaShift ai」を発表、SCSK
SCSKはAI活用およびデータ統合向けのオファリング「NebulaShift ai」を発表した。AI活用インフラの設計、構築、運用を丸ごと支援するサービスだ。