最近、「USB Type-C(USB-C)」端子を備えるAndroidスマートフォンやパソコンが増えています。端子の裏表関係なく接続できるなど、メリットも多いUSB Type-C端子ですが、見た目では分からないこともあります。
今回は、意外と謎の多いUSB Type-Cについて解説します。読者の皆さんの参考になれば幸いです。
【訂正:3月8日21時40分】USB 3.2に関する記述に一部誤りがありました。おわびして訂正いたします
パソコンやスマホへの機器の接続や充電に用いるUSB端子は、「USB(ユニバーサルシリアルバス)」と呼ばれる規格に基づいています。従来のUSB規格では、接続する側(親機)は「Type-A」、接続される側(子機)は「Type-B」という形状が定義されていました。接続する側、される側で形状が変わるということです。
Type-Bについては、通常サイズに加えて「Mini B」「Micro B」と呼ばれる縮小版も用意されています。
USB Type-Cは、Type-AやType-Bに次ぐ、USB端子の形状に関する「第3の規格」という位置付けです。裏表なく接続できることに加えて、親子なく接続できることがメリットです。端子サイズもコンパクトなので、スマホやノートパソコンなどのモバイル機器に搭載しやすいことも魅力です。
USBの規格では、端子だけではなくデータの転送速度も定義されています。主な速度規格と、その理論上の最大転送速度は以下の通りです。
転送速度の向上に伴い、USB 3.0以降では信号線(ピン)の数が増加しました。そのため、Type-AとType-Bの端子とコネクターは、USB 2.0までとUSB 3.0以降で仕様が異なります。
親機のType-A端子は、USBのバージョンを問わず接続可能ですが、最高通信速度は親子のうち下位の規格に従います。例えば、USB 3.0規格の周辺機器(子機)をパソコン(親機)のUSB 2.0端子に接続した場合は、転送速度の上限はUSB 2.0相当になります。USB 2.0規格の周辺機器をパソコンのUSB 3.0端子に接続した場合も、USB 2.0以上のパフォーマンスは発揮できません。
子機のType-B端子のうち、通常サイズとMicroサイズについては「USB 2.0まで」と「USB 3.0以降」で物理的な形状が異なります(※)。これらのサイズについて、USB 2.0までのコネクターはUSB 3.0以降の端子に接続できますが、USB 3.0以降のコネクターをUSB 2.0までの端子に接続することはできません。
(※)USB 3.0以降のMini B端子は、USB 2.0までのものと同一サイズでピン数が多くなっていますが、対応機器が少ないため説明を割愛します
一方、USB Type-Cの端子とコネクターはUSB 2.0までとUSB 3.0以降で同一形状となっています。端子やコネクターの向きだけではなく、規格も気にせず接続できるのです。
……が、少し視点を変えて考えてみてください。ケーブルの規格を問わず接続できてしまうということは、適切な速度規格のUSB Type-Cケーブルを使わないと、パフォーマンスを発揮できないということになります。
下に、USB 2.0規格のUSB Type-CケーブルとUSB 3.1規格のUSB Type-Cケーブルの写真を用意しました。同じメーカーの長さ50cm(0.5m)のものですが、どちらがどちらの規格か分かるでしょうか……?
答えは、左がUSB 2.0規格、右がUSB 3.1規格のケーブルです。「え、どこで見分ければいいの?」と思った人がほとんどだと思います。パソコンやスマートフォンについてある程度の知識を備える人でも、パッと見では分からないことが少なくありません。
「パッと見で規格が分からない」のは、パソコンなどにあるUSB Type-C端子も同様です。一体、どこを見れば規格が分かるのでしょうか……?
では、USB Type-Cの速度規格は、どうやって見分ければいいのでしょうか。その見分け方をご紹介します。
先述の通り、USBには速度規格があります。多くのUSB Type-C対応機器(特にパソコン)やUSB Type-Cケーブルには、それを示す「スピードクラス」のアイコンが印字されていることが多いです。パッケージに印字されていることもあります。
これらを手がかりにすれば、機器にピッタリの適切なケーブルを選べるはずです。
機器の本体にスピードクラスなどの表記がない場合は、カタログやWebサイトの「仕様書」、あるいは機器の「取扱説明書」を参照してみてください。USB Type-C端子のスピードクラスが記載されているはずです。
パソコンの場合、ほとんどのUSB Type-C端子はUSB 3.0以上に対応しています。しかし、スマホやタブレットの場合、USB 2.0規格となっていることもあるので、念入りにチェックすることをおすすめします。
先に言った通り、USB 3.0以降の規格は信号線の数が増加しています。それはUSB Type-C端子/コネクターでも例外ではありません。そのため、基本的にはUSB 2.0 Type-CケーブルよりもUSB 3.0以降に対応するUSB Type-Cケーブルの方が高価です。
例えば、Amazon.co.jpにおけるエレコム製の長さ0.5m(50cm)、USB Power Delivery(USB PD)対応ケーブルで税込み価格を比較すると以下の通りになります(2020年3月6日現在)。
321円の差があります。接続元、接続先の機器のどちらかがUSB 2.0 Type-C端子を搭載するものである場合、割り切ってUSB 2.0 Type-Cケーブルを購入すると出費を抑えられます。
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