メディア
製品比較
» 2020年10月10日 13時45分 公開

Androidの「モバイルSuica」と「モバイルPASMO」って何が違う? 比較してみよう【2020年最新版】

おサイフケータイ対応のAndroidスマートフォンでは「モバイルSuica」と「モバイルPASMO」が使えます。両者は一体何ができて、何が違うのでしょうか。比較してみましょう。

[Fav-Log]

 皆さんは、鉄道やバスに乗るときに「乗車券」を購入しているでしょうか。最近では、都市圏を中心に「交通系ICカード」を乗車券の代わりに使っている人も少なくないでしょう。

 交通系ICカードの中でも、首都圏や仙台地区や新潟地区で使えるJR東日本(東日本旅客鉄道)の「Suica(スイカ)」と、首都圏の私鉄やバス会社が共同で運営する「PASMO(パスモ)」は特に利用者が多いとされています。両者には、スマートフォンを鉄道やバスに乗る際に使うICカードとして使えるサービスもあります。

モバイルSuicaとモバイルPASMO おサイフケータイに対応するAndroidスマートフォンで使える「モバイルSuica」と「モバイルPASMO」

 この記事では、おサイフケータイに対応するAndroidスマートフォンで使える「モバイルSuica」と「モバイルPASMO」について、その違いをチェックしていきます。

どんなAndroidスマホで使える?

 モバイルSuicaとモバイルPASMOは、Androidスマホのうちおサイフケータイ機能を搭載していて、OSがAndroid 6.0以上の機種で利用できます(※1)。手持ちのAndroidスマホに「おサイフケータイ」アプリが入っているかどうか、OSが条件を満たしているかどうかしっかりチェックしましょう。

 それぞれのアプリは、普通のアプリと同様に「Google Play」からダウンロードできます。

(※1)モバイルSuicaはAndroid 6.0未満のOSでも稼働しますが、2021年3月をもってAndroid 6.0未満のOSのサポートを終了します

おサイフケータイ スマホにおサイフケータイアプリが入っているかどうか確認しましょう

 なお、会員登録が不要なサービスを使う場合は、モバイルSuicaであればGoogleの「Google Payアプリ」から使い始めることもできます。

Google Pay モバイルSuicaを会員登録なしで使い始める場合は、モバイルSuicaアプリの代わりに「Google Payアプリ」を利用することもできます。会員登録が必要なサービスを使いたい場合は、後からモバイルSuicaアプリを追加して会員登録を行いましょう

モバイルSuicaでもモバイルPASMOでもできること

 モバイルSuicaとモバイルPASMOでできることは基本的に共通で、以下の通りカードタイプのSuicaやPASMOとおおむね同じことができます。ただし「★」印の付いているサービスは無料の会員登録が必要です。

  • 「交通系ICカード」に対応する鉄道やバスへの乗車
  • 「交通系電子マネー」に対応する店舗での買い物
  • 「定期券」の購入と利用★(詳しくは後述)
  • PASMO対応路線バス/路面電車における「バス利用特典サービス(バス特)」の利用
  • PASMO対応路線バス/路面電車における「1日乗車券」の購入と利用
  • PASMO対応路線バスにおける「乗り継ぎ割引」の適用
  • コンビニエンスストアや路線バス車内などでの現金チャージ
  • クレジット/デビット/プリペイドカードを使ったチャージ★(※2)
  • Suica/PASMOエリアにおけるオートチャージ★(※3)
  • 端末の機種変更・紛失・盗難時の再発行★(※2)

(※2)会員情報にクレジットカード/デビットカード/プリペイドカードをひも付けると利用できます。モバイルPASMOの場合は「3Dセキュア」(Web本人確認)に対応するカードのみひも付けられます。モバイルSuicaの場合は、Google Payアプリを使うと会員登録なしでもチャージできます
(※3)特定のクレジットカードをひも付けた場合のみ利用できます

できること モバイルSuicaとモバイルPASMOは、カード式のSuicaやPASMOとほぼ同じことができます。「バス特」に対応する路線バスでは乗車金額に応じたポイントがたまり、一定ポイントがたまると「バスチケット」が付与されます(出典:株式会社パスモ)

モバイルSuicaのみ対応していること

 一方で、以下の通りモバイルSuicaでのみ利用できるサービスもあります。いずれも無料の会員登録が必要です。

  • 「モバイルSuicaグリーン券」の購入と利用(※4)
  • 東海道・山陽新幹線の「EX-ICカード」としての利用(※5)
  • 「Suicaポケット」の受け取り(「JRE POINT」のポイントチャージを含む)
  • Webショッピングのネット決済(対応サービスのみ)

(※4)会員情報にカードをひも付けると利用できます。Suicaの残高から購入することはできません
(※5)JR東海が指定するクレジットカードを用意した上で、モバイルSuicaアプリから手続きを行う必要があります。モバイルSuicaの会員情報とひも付けたカードと同一でなくても構いません

モバイルSuicaグリーン券 首都圏のJR線の一部に設定されている「普通列車グリーン車」に乗れるSuicaグリーン券は、モバイルSuicaアプリでないと発券できません

モバイルSuica定期券の購入について

 モバイルSuicaアプリでは、原則としてJR東日本のSuicaエリアの駅を発駅とする定期券を購入できます。代金の支払いは、会員情報にひも付けたカードで行います。

 購入できる定期券の種類は以下の通りです。首都圏エリアはSuicaを採用する他社やPASMO採用事業者、仙台エリアは仙台市営地下鉄との連絡定期券も購入できます

  • 通勤定期券
  • 通学定期券(大学生、専門学校生のみ)
  • グリーン定期券
  • 新幹線通勤定期券(FREX)(特定区間のみ対応)
  • 新幹線通学定期券(FREXパル)(特定区間のみ対応)

 通学定期券やFREX/FREXパルの新規購入時は、それぞれにおける所定の事前申し込みが必要です。通学定期券とFREXパルでは、必要書類(通学証明書など)の郵送も必要です。申し込みが受理されると、アプリから購入できるようになります。

予約画面 通学定期券を新規発行するには、事前の申し込みと書類の郵送が必要です。使い始める日程を考えて、余裕を持った対応をしましょう(画像はパソコンで申請画面を開いた場合)

 また、以下の定期券は事前に問い合わせると購入できることがあります(アプリの操作だけでは購入できません)。気になる人は問い合わせてみてください。

  • 乗り継ぎの都合で「重複」「折り返し」が生じる経路の定期券
  • 発着共に私鉄/地下鉄の駅だが、途中にJR東日本の路線を含む経路の定期券
  • 2区間定期券(※6)
  • 「グリーン車利用区間」と「定期券区間」が異なるグリーン定期券
  • その他、アプリの自動案内では出ない経路の定期券

(※6)その名の通り、2つの区間で有効な定期券。2区間目は1区間目の途中駅を発駅とすることが条件となります(2区間目の着駅は範囲制限あり)。定期運賃は、1区間目と2区間目の定期運賃を合算したものとなります

2区間定期券 モバイルSuicaアプリではグリーン車利用区間が実際の乗車区間と異なるグリーン定期券(左)や2区間定期券(右)を発券できませんが、事前に問い合わせると発券できる場合があります(出典:JR東日本)

 なお、モバイルSuicaでPASMO対応路線バスの「ICバス定期券」(都電荒川線の定期券を含む)を使いたい場合は、利用する路線バス事業者のモバイルSuicaに対応できる定期券販売窓口にスマホを持ち込めば購入できます。ただし、以下の点に注意してください。

  • モバイルSuicaの会員登録(=記名式利用)が必要
  • 代金は当該窓口で利用できる方法で支払う(各種カードを使えない場合あり)
  • 定期券の内容はアプリから確認できない(発行される「控え」を携行する必要あり)
バス定期券 PASMO対応路線バスの一部で発行している「ICバス定期券」はモバイルSuicaでも利用できますが、スマホをモバイルSuicaに対応できる定期券販売窓口に持ち込む必要があります。モバイルSuicaに書き込んだICバス定期券の情報はアプリから参照することができないことにも注意です(出典:東京都交通局)

モバイルPASMOのみ対応していること

 逆に、以下の通りモバイルPASMOでのみ利用できるサービスもあります。「★」印が付いているものは会員登録が必要です。

  • 「バス特」のポイントや特典チケットの確認
  • ICバス定期券の購入と内容確認★(カード登録も必要)

 バス特のポイントと特典チケットの確認機能は、モバイルSuicaはもちろん、カードタイプのPASMOやSuicaにもない魅力です。

バス ICバス定期券の購入(左)や「バス特」の状況確認(右)をアプリから行えるのは、モバイルPASMOだけです

モバイルPASMO定期券の購入について

 モバイルPASMOアプリでは、鉄道の定期券と、バス/路面電車(都電荒川線、東急世田谷線)の定期券をそれぞれ1枚ずつ購入できます。東京都交通局や横浜市交通局では、それぞれの局が運営する地下鉄とその他の交通(路線バスなど)との連絡定期券も発売しています。代金の支払いは、会員情報にひも付けたカードで行います。

 鉄道定期券は、モバイルPASMO定期券を発行する事業者の駅を発駅とするものを購入できます。首都圏のSuica事業者やPASMO事業者への連絡定期券も購入可能です。発駅に関する条件を満たしていれば、モバイルPASMO定期券を発行していないPASMO事業者を着駅(あるいは経由駅)とする連絡定期券も発行できます。

 購入できる鉄道定期券の種類は以下の通りです。

  • 通勤定期券
  • 通学定期券(原則として大学生、専門学校生のみ)
  • 2区間定期券(特定事業者の特定区間における連絡定期券のみ)

 通学定期券の新規購入時は、モバイルPASMOアプリで経路申請(購入予定の定期券の内容を登録)した上で、モバイルPASMOの会員サイトでダウンロードした申請書を印刷し、必要書類(通学証明書など)を添えて郵送する必要があります。申し込みが受理されると、アプリから購入できるようになります。

モバイルPASMO会員サイト 通学定期券を新規購入する場合は、モバイルPASMO会員サイトから申請書をダウンロードして、必要書類を添えて郵送する必要があります

 バス定期券も、モバイルPASMO定期券の発行に対応する事業者で購入できます。路線バスはおおむね地区によって「定額(一律)運賃」と「距離制(整理券)運賃」に分かれますが、モバイルPASMOのバス定期券はどちらにも対応できます。鉄道定期券と同様の手続きで通学定期券も買えます。

 なお、鉄道定期券もバス定期券も、発売内容は事業者によって異なります。アプリでの購入手続き時にも案内は出ますが、どのような定期券を買えるのか、Webサイトで事前に確認することをおすすめします。

モバイル特有の注意点もしっかり知ろう!

 モバイルSuicaとモバイルPASMOは、カードタイプとほぼ同じ機能を持ち合わせます。ただし“カード”ではないゆえの注意点もあります。

 まず、駅での現金チャージはカードやスマホをトレイに載せられるタイプの券売機やチャージ機でのみ可能です。現金チャージをしたい場合は、コンビニエンスストアを活用することをおすすめします。

駅でのチャージ機 モバイルSuicaやモバイルPASMOを駅で現金チャージする場合は、写真のようにICカードの読み書きをする部分がトレイとなっているチャージ機を探す必要があります

 モバイルSuicaやモバイルPASMOは、一度設定してしまえばアプリを立ち上げておかなくても使えます。「スマホのバッテリーが切れたら使えなくなるのでは?」と心配する人もいるかもしれませんが、一部を除き、おサイフケータイの使えるAndroidスマホではおサイフケータイの機能を維持できる程度のバッテリー残量を残して電源が切れるようになっています。そのため、ほとんどのスマホはバッテリーが切れてもしばらくの間はモバイルSuicaやモバイルPASMOを使えます。

 ただし、このようなバックアップ機能を備えているスマホでも、バッテリー切れで電源が切れてからおサイフケータイを使える時間は長くても1〜2日程度です。万が一に備えて、バッテリー残量が少なくなったら早めに充電するようにしましょう。

バッテリー残量 ほとんどのAndroidおサイフケータイは、バッテリー切れで電源が切れた後も、長くて1〜2日間はおサイフケータイ機能を利用できます。ただし、完全にバッテリーが干上がってしまったら改札を出られなくなる恐れがあります。バッテリー残量には気を付けましょう

どっちにすればいい?

 モバイルSuicaとモバイルPASMOのどちらが良いかは、人それぞれです。

 モバイルSuicaは、以下のいずれかに当てはまる人におすすめです。

  • 家からの最寄り駅がJR東日本のSuica対応駅である
  • JR東日本の「JRE POINT」をためている
  • Suica対応のオンラインショッピングサイトをよく使う
  • 普通列車のグリーン車によく乗る
  • エクスプレス予約をよく使う

 一方、モバイルPASMOは以下のいずれかに当てはまる人におすすめです。

  • 家からの最寄り駅がPASMO対応の私鉄の駅である
  • 私鉄のポイントプログラムを使っている
  • 通勤や通学でPASMO対応の路線バスを使っている

 なお、原則としておサイフケータイ対応のAndroidスマホにはモバイルSuicaとモバイルPASMOのどちらか1枚のみ記録できます。そのため、モバイルSuicaからモバイルPASMOに乗り換える場合はモバイルSuicaのデータを削除する必要があります。その逆も同様です。

 最新機種のごく一部では、モバイルSuicaとモバイルPASMOの両者を共存できるようになっています。共存できる機種の場合でも2枚のカードを同時に有効化はできず、もう片方を使いたい場合はおサイフケータイアプリで切り替える必要があります。

 また、システムの仕様からモバイルPASMOには対応できない機種もあります。手持ちのスマホの対応状況は、JR東日本が一覧で公開しているので確認してみてください。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.