「アカデミー賞作品」おすすめ4選 アカデミーの各賞に輝いた作品から気になるタイトルをピックアップ【2022年3月版】

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　先日発表された第94回アカデミー賞では、日本映画の「ドライブ・マイ・カー」が初めて作品賞にノミネートされ話題となりました。作品賞には選ばれませんでしたが、国際映画賞に輝きましたね。

2021年アカデミー賞 作品賞『ノマドランド』（出典：Amazon）

　今回は各部門賞も含めて、これまでの「アカデミー賞 受賞映画」おすすめ作品を紹介します。過去10年以内の比較的新しい作品から選んでいます。名作と呼ばれる作品ばかりですので、ぜひ映画鑑賞の参考にしてみてください。

アカデミー賞 作品賞（2020年）：『パラサイト 半地下の家族』

　2020年公開の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』は、外国語映画では初めて作品賞受賞の快挙を成し遂げた作品です。

『パラサイト』（出典：Amazon）

　タイトルにある「半地下」とは、家の下半分が地下に潜っている韓国特有の住宅です。日当たりが悪く湿気も多い、家としてとても良い環境とは言えませんが、その分家賃が安いため低所得者が暮らす場所として知られています。

　そんな半地下で暮らす主人公のキム一家は、仕事がない父親、元ハンマー投げ選手の母、受験に失敗し続ける長男、美大を目指しているがうまくいかない長女の4人家族。日々内職で細々と生計を立てていたところ、長男のギウが高台の豪邸に暮らすパク家のもとに家庭教師として通い始めることで、大きな変化へとつながっていきます。

　半地下の家族と高台の豪邸の家族の対比が、時には痛々しいほどに表現されており、格差社会について考えさせられる内容です。一方でスピード感のある展開と、キム一家がパク家に“寄生”していく巧みな計画にドキドキする、エンターテインメント性にも優れた作品です。想像していなかった衝撃の真実、そして全てわかった上でもう一度見てみると、いろいろな伏線に気がついて楽しめるでしょう。

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アカデミー賞 主演男優賞（2019年）：『ボヘミアン・ラプソディ』

　世界的人気のロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーの人生を描いた『ボヘミアン・ラプソディ』。フレディの再現を高く評価されたラミ・マレックは、アカデミー賞主演男優賞を獲得しました。

『ボヘミアン・ラプソディ』（出典：Amazon）

　数々の名曲を生み出してきたクイーン。有名な「Bohemian Rhapsody」や「We Will Rock You」が生まれた瞬間、新しいことに挑戦し時には壁にぶつかる葛藤、フレディと他のメンバーの軋轢。成功から落ち目、そしてフレディに降りかかる困難を経て迎える、ラストの21分「ライブ・エイド」のシーンは圧巻です。

　音響編集賞も受賞している『ボヘミアン・ラプソディ』は、クイーンの現メンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮を務めています。ストーリーだけでなく、劇中の音楽にも注目です。クイーンの曲をあまり知らない人でも楽しめる要素がたくさん詰まっています。サウンドトラックCDも販売しているので、こちらも気になる人はぜひチェックしてみてください。

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アカデミー賞 主演女優賞（2018年）：『スリー・ビルボード』

　『スリー・ビルボード』は人間の怒りや悲しみ、復讐心といった負の感情にフォーカスを当て、そこから生まれる愛や赦（ゆる）しがテーマの作品です。主演のフランシス・マクドーマンドが、アカデミー賞主演女優賞を獲得しました。

『スリー・ビルボード』（出典：Amazon）

　アメリカミズーリ州の片田舎の町が映画の舞台です。何者かに娘を殺害され主人公のミルドレッドは、いつまでも犯人を捕まえられない警察に苛立ち、道路沿いに設置されている大きな3枚の看板（ビルボード）に警察署長に対して抗議のメッセージを掲載します。しかし閉塞的な田舎町ではミルドレッドの行動は理解されず、警察署長のウィロビーが人格者であることも相まって、他の住人との溝が広がることに。特にウィロビーを慕う部下のディクソンは、ミルドレッドに対して強い敵対心をあらわにします。それでも娘を想う気持ちでミルドレッドは孤独に奮闘しますが、思いもよらない出来事が起こり、次第に気持ちに変化が表れていきます。

　『スリー・ビルボード』は主人公のミルドレッドだけでなく、ウィロビー、ディクソン、3人の視点でストーリーが進んでいきます。それぞれの視点から見ることで、3人全員に共感できる面があり、もしかしたら自分もこうなるかもしれないと考えさせられる内容です。人にはさまざまな一面があり、簡単に善悪を判断できない。そんなメッセージが込められているようにも感じます。ミルドレッドは最終的にどのような選択をするのか、気になる人はぜひチェックしてみてください。

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アカデミー賞 美術賞（2015年）：『グランド・ブタペスト・ホテル』

　2014年公開の『グランド・ブタペスト・ホテル』は、背景やセットの装飾などが高く評価された映画に贈られる、アカデミー賞美術賞を獲得した作品です。

『グランド・ブタペスト・ホテル』（出典：Amazon）

　物語の舞台は1932年。ヨーロッパ随一の高級ホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」は、伝説のコンシェルジュと呼ばれるムッシュ・グスタヴ・Hを目当てに多くの女性客が訪れていました。その客の一人であるマダムDが殺害され、遺言書が開封されるとなんとそこにはグスタヴ・Hに有名な絵画を相続すると書かれていました。しかしそれをよく思わないマダムDの血縁者たちにグスタヴ・Hは追われることとなり、信頼するベルボーイのゼロ・ムスタファを引き連れてヨーロッパ全土を駆け巡ります。2人は無事に逃れられるのか、遺産相続の行方はどうなるのでしょうか……。

　『グランド・ブタペスト・ホテル』はコミカルな動きが特徴的で、独特な色使いやカメラワークが魅力の作品です。ホテルの内装がとてもきれいで、あたたかみのある色合いがノスタルジックな雰囲気を演出しています。細部へのこだわりも感じられ、美術賞納得の作品といえます。この作品が気に入った人は、ウェス・アンダーソン監督の他の作品もチェックしてみてください。

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