極度の人見知りで友達がいない、いわゆる”ぼっち”の女の子・後藤ひとりがバンド活動を通して成長していくアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。1月現在において、挿入曲の『ギターと孤独と蒼い惑星』はYouTubeで1100万回以上再生され、Amazonプライムのランキング(日本)では度々トップ10入りを果たすなど、オタク界隈を中心に注目されている作品です。
メインヒロインが”ぼっち”で”陰キャ”という設定がなかなかに斬新で、同じく”バンド×萌え”でかつて社会現象となった『けいおん!』とは、似て非なるものとして、独特な魅力を放っています。
ぼっちならではの自意識過剰な誇大妄想とコミュ障の姿がやたらとリアルに描かれており、”ぼっちあるある”の宝庫としても楽しめますし、ぼっち経験者なら思わず共感してしまうシーンも多いはず。
かくいう筆者もぼっち経験者として、見ている最中は「わかる、わかる」の連続で、完全にハマってしまいました。ということで、今回は聖地の1つである下北沢周辺を巡礼してきました。もちろん、”ぼっち”で……。
フリーライターとして、家電、家具、アニメ等の記事を担当。大学時代から小説や脚本などの創作活動にはまり、脚本では『第33回シナリオS1グランプリ』にて奨励賞を受賞、小説では『自殺が存在しない国』(幻冬舎)を出版。なんでも書ける物書きの万事屋みたいなものを目指して活動中。最近はボクシングをやりはじめ、体重が8kg近く落ちて少し動きやすくなってきました。好きなのものは、アニメ、映画、小説、ボクシング、人間観察。好きな数字は「0」。Twitter:@kirimachannel
『ぼっち・ざ・ろっく!』の聖地巡礼をする場合は、まず下北沢駅の東口からスタートすることをおすすめします。「結束バンド」のライブ会場も含め、複数の聖地が東口方面に集中しているので、東口からだと効率良く回ることができます。
東口から歩き出し、おしゃれな出店を脇に見つつ、最初の交差点を右に曲がると、作中に度々出てくる本多劇場前に到着します。第1話で、下北沢のおしゃれな雰囲気におびえながら、ひとりが虹夏(筆者の推し)についていくシーンを思い出す人も多いでしょう。
こちらの本多劇場は、普段は演劇等を上映している施設で、同じ建物内にはサブカル好きにはたまらないヴィレッジヴァンガードも入っています。現地に到着してみると、ヴィレヴァンの入り口も含め、アニメの中でかなり忠実に再現されていたことが分かります。
筆者が訪れたときは、入り口の壁面に『ぼっち・ざ・ろっく!』のポスターも貼られていたので、聖地に来た実感がありましたね。
本多劇場の通りを真っすぐ進むと十字路が現れるので、それをそのまま直進。狭い路地を少し進むと、地下のスペースに「下北沢SHELTER」を発見することができます。こちらが、結束バンドが活動拠点にしている「ライブハウスSTARRY」のモデルとなったお店です。
結束バンドのメンバーが集まって会議をしたり、バイトをしたり、ライブをしたりと、いろいろなシーンが思い浮かびます。筆者は、第8話にて、ライブの雰囲気を変えるためにひとりがかっこよくソロ演奏する場面を思い出して、勝手にちょっと熱くなりましたね。
ちなみに、第5話に登場する自動販売機の群れも同じ通りにあります。この場所は、自分はちゃんと成長できているのかと悩んでいるひとりに、虹夏がコーラーをおごってくれるシーンで使われています。「ぼっちちゃんには秘密だよ」と言って、虹夏が人差し指を口元に持っていく仕草は破壊力ありましたよね……。
今回は昼間に行きましたが、夜だと自販機特有の明かりで独特な雰囲気が楽しめるかもしれません。ただし、ライブ会場や自販機の周りはかなり狭いので、大勢で行くことは避け、道をふさがないよう短時間で離れることを心がけてくださいね。
本多劇場の通りの十字路を左に進んでしばらくすると、大きめの交差点が現れ、左手に「下北線路街 空き地」という広場が見えます。こちらは、空き地を使ったイベントや、カフェ、グルメなどが楽しめる場所です。下北沢ならではの個性的で、おしゃれな空間になっています。
第5話にて、STARRYの店長・星歌に「次のライブに出す気はない」と言われ、ショックを受けた虹夏が向かった先が、この空き地です。虹夏に「へたっぴ」と評されたひとりが、落ち込んでドカンに隠れるシーンがありますが、そのドカンもちゃんと置いてあります。
空き地の芝生エリアに、アニメと同じように3つの土管が積まれているのです。「本当にあるんだ」と、ちょっと感動しましたね。ひとりの”ぼっち節”が脳内に蘇ってきて、筆者も一人で笑いそうになってしまいました。不審者にならないよう、必死でこらえましたが……。
広場には、スクエア型の空き地カフェや空き地キッチン、そして期間限定で登場するキッチンカーも入っています。また、飲食エリアには、寒くならないよう、ストーブが設けられており、冬場でもフラッと立ち寄って飲食が楽しめますよ。
空き地を出ると、左手に「下北沢1番街」が見えます。1番街に進み、3番目くらいの路地を右に入ると、「どんぐりひろば公園」に到着します。
ここは、第4話にて作詞を任されたひとりが、歌詞をどうしようか悩んだり、アー写のロケーション探しで訪れたりした場所です。リョウとキタちゃんが乗っていた遊具もちゃんと設置してあります。
キャラの気持ちに寄り添うために、筆者も遊具に乗ろうか迷ったのですが、冬場の遊具は冷たくてお尻が痛くなりそうだし、30歳を目前にした男が遊具にまたがっている姿はいろんな意味で痛すぎるので、やめることにしました……。
第8話、初ライブの後の打ち上げで使われていた、あの居酒屋にも行ってみました。作中では「かおみせ」という名前でしたが、実際は「こけら」という名前のお店です。こちらは、下北沢駅の南西口方面にある居酒屋で、ドン・キホーテ下北沢店の裏側に位置しています。
作中では、虹夏の夢やバンドにかける思いが語られ、さらに虹夏による『ぼっち・ざ・ろっく!』のタイトル回収も行われている、聖地巡礼するなら外せない場所です。作中と同様、居酒屋なのでそれこそ何かの打ち上げや、オフ会で訪れるのも面白いかもしれません。
ちなみに、周辺の通りは、結束バンドのメンバーたちが良く歩いているところなので、お店へ向かう最中も作品の中に入り込んでいるような気分が味わえますよ。
主要な聖地を回ったところで、「下北線路街 空き地」へ戻り、最後にグルメを楽しむことにしました。この日はピザ屋さんのキッチンカーが入っていたので、ジェノベーゼピザをいただきました。
寒空の下で食べる熱々のピザは、もう絶品でしたね。聖地巡礼後のご褒美として、ホクホクでチーズたっぷりのピザはピッタリでした。
さて、今回、下北沢を歩いてみて分かったことですが、ハンバーガーやカレー、イタリアンなど、おしゃれで美味しそうなお店が軒を連ねていて、歩いているだけでも、しずる感のある看板が目に入り、過激派の飯テロを食らい続けることになります。
古着屋やヴィレヴァンのようなサブカルショップ、劇場やライブハウスなどカルチャーを感じる場所も多くあり、”グルメ×カルチャー”の魅力満載なエリアだと感じました。現地に足を運んだときは、聖地巡礼を楽しみながら、下北沢の魅力にもぜひ触れてみてくださいね。
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