「Apple Watch」は世界で最も売れているスマートウォッチですが、多くの人に支持されている一方で、Apple Watchを選ばない人もいます。そこで改めて、その魅力はどういうところにあるのか、マイナスポイントはないのか、Apple Watchのメリットとデメリットを紹介します。
インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それらを通じて利用できるさまざまなサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。
Apple Watchは、iPhoneと一緒に使うことを前提としたデバイスです。iPhoneにつながるスマートウォッチは他にもありますが、連携の簡単さ、連携してできることの多さで群を抜いているのは、やはりApple Watchです。
電話やメール、メッセージアプリなど、さまざまな通知が受け取れるだけでなく、そのまま通話したり返信したりすることもできます。
iPhoneで使っているアプリの一部機能を、Apple Watchから操作することも可能です。例えばカメラのリモコンとして使ったり、音楽の再生をコントロールしたり、いろいろな連携が簡単にできるという意味で、iPhoneのベストパートナーはやはりApple Watchです。
「モバイルSuica」や「モバイルPASMO」から、「PayPay」のようなQRコード決済まで、Apple Watchは現在販売されているスマートウォッチの中で、最も多くの電子決済に対応しています。
つまりそれだけ使える場所も多いということ。筆者は以前、財布を忘れて出かけてしまった際に、Apple Watchで電子決済が使えたおかげで助かったという経験があります。対応する電子決済が多いことは、Apple Watchの大きなアドバンテージといえるでしょう。
Apple Watchにはさまざまなセンサーが搭載されていて、着けているだけで歩数や運動量、心拍数などのデータがiPhoneのヘルスケアアプリに記録されるようになっています。「Apple Watch SE」を除く「Apple Watch Series 4」以降のモデルでは、簡易的に心電図を取れる機能も。
「Apple Watch Series 6」以降のモデルでは血中酸素濃度、「Apple Watch Series 8」では皮膚温をもとに過去の排卵日も特定できます。日々の健康管理に役立つさまざまなデータが自動的に記録されるだけでなく、座りっぱなしだと立ち上がるように促したり、しっかり手洗いができるようにサポートしたりする機能もあります。
また転倒を検知して緊急通報するなど、いざというときに役立つ機能も備わっています。
iPhone用のアプリケーションの中には、Apple Watchに対応しているものがたくさんあります。例えば「LINE」では、届いたメッセージが読めるだけでなく、定型文や音声入力で返信したり、絵文字や写真も送信したりすることができます。「乗換案内」では、あらかじめ登録した最寄り駅の次の電車が出発するまでの時間を、カウントダウンで確認できます。また「マップ」では過去の検索履歴から、簡単にルートを再検索したり、近くのお店も調べられたりします。
こんな風にアプリと連動した便利な機能がたくさん使えるのも、Apple Watchの大きな魅力です。
Apple Watchには、携帯電話会社と契約すればiPhoneが近くになくても単体でモバイルネットワークにつながる、セルラーモデルが用意されています。プランによってiPhoneと同じ番号が使えたり、違う番号を取得したりすることができ、Apple Watchだけで電話をかけたり、受けたりすることができます。
例えばランニングのように身軽に出かけたいときには、Apple Watchだけ着けていけばOK。何かあればすぐに連絡を取ることができます。
Apple WatchはiPhoneのベストパートナーである一方で、Androidスマートフォンでは利用することができません。スマートウォッチの多くはiPhoneとAndroidスマートフォンの、どちらもサポートしていますが、Apple WatchはiPhoneだけです。
Apple Watchは小さなiPhoneといっても良いくらい、たくさんの機能を備えていますが、一方でバッテリーは、現行モデルでは「Apple Watch SE(第2世代)」「Apple Watch Series 8」で最大18時間、「Apple Watch Ultra」で最大36時間となっています。つまり毎日のように充電が必要だということです。
睡眠を記録するために夜も着けて寝ることを考えると、充電できる時間は限られています。なお、「Apple Watch Series 8」と「Apple Watch Ultra」は急速充電に対応していますが、「Apple Watch SE(第2世代)」は対応していません。
Apple Watchは「watchOS 9」から、睡眠記録として、眠った時間に加えて眠りの深さなどが分かる「睡眠ステージ」が記録できるようになりました。ただしこの睡眠の記録を動作させるには、あらかじめ就寝時間と起床時間を設定し、睡眠スケジュールを作成する必要があります。
こうした設定がやや面倒なのと、昼寝が記録できない点は、生活が不規則になりがちな筆者の個人的な不満点でもあります。
「Apple Watch SE(第2世代)」は、GPSモデルが3万7800円(税込、以下同)からと比較的安価に購入できますが、「Apple Watch Series 8」は5万9800円から、「Apple Watch Ultra」は12万4800円と、iPhoneと変わらない価格になっています。世の中にもっと高級な腕時計はいくらでもありますが、スマートウォッチの中ではなかなかのお値段といえます。
これはApple Watchに限った話しではありませんが、スマートフォンと比べるとリセールが難しいのもデメリットといえます。iPhoneはリセールバリューが高く、中古端末も高く買い取ってもらえることが多いですが、同じアップル製品でもApple Watchは身に着けるものだということもあり、中古端末の買い取り価格は高くないのが現状です。
これらメリット、デメリットを踏まえた上で、最新のApple Watchをチェックしてみましょう。
「Apple Watch SE(第2世代)」は、メリット1〜5を全て備えつつ、GPSモデルが3万7800円から、GPS+Cellularモデルでも4万5800円からと、デメリット4に該当しないApple Watchの中では最も高コスパなモデルです。
「Apple Watch Series 8」との違いは、ディスプレイサイズのほか、メリット3で紹介した心電図や血中酸素濃度、皮膚温といった最新のセンサーが搭載されていないこと。デメリット2に関わる、高速充電に対応していないことです。高速充電がないと充電するタイミングは難しくなるものの、Apple Watchのメリットをほぼ享受できて、お手頃価格で購入できるのはうれしいポイントです。
最新モデルの「Apple Watch Series 8」は、「Apple Watch SE(第2世代)」にはない心電図や血中酸素濃度、皮膚温といった最新のヘルスケア機能を搭載し、Apple Watchのメリットをフルで享受できます。
デメリット2で紹介した、毎日充電が必要なのは確かにその通りなのですが、高速充電に対応しているため、入浴時間などをうまく活用してこまめに充電すれば、夜も着けっぱなしで眠ることができます。
現行モデルの中では最も素材や色、バンドの種類といった組み合わせの選択肢が豊富。今、Apple Watchを買うなら、これを選んでおけば間違いないといえるモデルです。
2022年に新たに登場した「Apple Watch Ultra」は、登山やトレイルラン、ダイビングなど、アウトドア好きのユーザーに向けたApple Watch初のタフネスモデルです。デメリット4で紹介したとおり、GPS+Cellularモデルのみの展開で価格は12万4800円と、お値段は最も高いですが、一方でバッテリー持ちは最大36時間とほかの2モデルの倍。高速充電にも対応しています。
100メートル耐水性能や、水温や水深が測れるセンサーを搭載しているほか、いざというときに鳴らせるサイレンなどの機能もあります。ディスプレイも「Apple Watch Series 8」より大きく見やすいです。
紹介した5つのメリットのほかに、Apple Watchには、他のスマートウォッチに比べてアクセサリーが豊富というメリットもあります。アナログ時計と比べたときのファッション性をデメリットに挙げる人もいますが、豊富なアクセサリーで個性を主張できるのも、Apple Watchの魅力ではないでしょうか。
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