行楽シーズンになり、登山に挑戦しようと思っている人は多いのではないでしょうか。森林浴を堪能したり、仲間と汗を流したりと楽しいアクティビティですが、自然の中に入るため、一歩間違えると危険な目に遭うことも。
今回は、山好きのアウトドアショップ店員である筆者が、登山の前に知っておきたいこと、気をつけたいことをまとめました。これから登山を始めたい人は事前に内容をチェックして、安全に自然を満喫しましょう。
フリーランスライター兼アウトドアショップスタッフ。富士登山をきっかけにアウトドアにはまり、登山やキャンプ、トレイルランニングなど幅広いアクティビティを一年中楽しんでいます。勤務するアウトドアショップのお客さまから寄せられるお悩みや自身の山体験を生かし、リアルで深い内容を発信! リモートワーカーのため、仕事や日常を快適かつ生産的に行うためのガジェット選びも得意です。
登る山を決める際には、自分のレベルや体力に合わせた山を選びましょう。また、1つの山には複数の登山コースが存在していることがほとんどなので、ルートの難易度も必ず確認しましょう。例えば、初心者が登りやすい高尾山でも、道が舗装されていて、スニーカーでも歩きやすいコースもあれば、登山靴で行くことが推奨される足元の不安定な獣道のコースもあります。ルートの状況や所要時間を比較しながら、自分や一緒に行く人に合った登山計画を立てることで、ケガや遭難のリスクを減らすことができ、登山を思い切り楽しめます。
筆者は、登りたい山やルートのレベルがよく分からない場合は、各自治体が発表している「グレーディング」を参考にしています。その山やルートが自分の体力・技術力に合っているかが簡単に調べられるので、山の知識が少なくても適切に選択ができますよ!
行き先が決まったら、事前に必ずルートや所要時間を確認しましょう。道迷いを防ぐことだけでなく、消費カロリーや難所の有無が分かるので、水や行動食をどれだけ持っていくべきか、トレッキングポールやグローブなどのプラスアルファの道具を持っていくべきかを決めやすくなります。筆者はスマートフォン用の登山アプリを活用中です。アプリ内の山地図をダウンロードし、登山口から山頂、そして下山道の所要時間や勾配、休憩スポットの有無をざっくりと確認しています。
アプリ内の山地図は、出発前に自宅でダウンロードしておくのがポイントです。人里離れた登山口付近などはスマホの電波がなく、地図をダウンロードできないこともあります。データ通信量を節約するメリットもあるので、Wi-Fi下でダウンロードするのがよいでしょう。
紙の地図が好きな人は「山と高原地図」がおすすめです。とても見やすく、山の解説文もついているので予習をするのにぴったりです。
登山に行く際には、レベルに関わらず登山届(登山計画書)を提出し、家族に行き先や帰る時間などを伝えておきます。スマホの電波が届きにくい山において、遭難時になるべく早く救助してもらうためには、事前の情報が何よりも大切。「予定していた時間に下山しない」「連絡がこない」などの異変に周囲が気づくことで、素早く救助を始められたり、効率よく捜索できたりします。
登山届は、登山口付近や最寄駅、ビジターセンターでも提出が可能です。日程やルート、一緒に登るメンバーの名前や連絡先などを記入してポストに入れるだけなので、必ず提出してから登り始めましょう。また、「コンパス」というWebサイトや、前述した登山アプリを使ってオンラインでも提出できます。
登山では、虫や紫外線、暑さから体を守る服装を心がけましょう。ゴールデンウィーク以降は、山の気温が上がるため、虫の動きが活発になり、虫に刺されやすくなります。初心者に人気の神奈川県・大山や東京都・高尾山などでも、スズメバチやヤマビル、蚊などの厄介な虫たちはたくさんいるため、適切な対策をして登山に出かけましょう。
筆者は過去、暖かい時期に半ズボンで登山に出かけた際に、ブヨに刺されて足がパンパンに腫れてしまった経験が……。かゆみや火照りで登山に集中できなかった想い出があります。それからは、虫の多い山域を訪れる際にはなるべく脚や腕を露出しない服装を心がけ、長袖・長ズボンやアームカバーなどを着用しています。
また、暖かくなると日差しが強くなるため、日焼けや熱中症のリスクもぐっとアップ。日光浴は気持ち良いですが、強い日差しに当たりすぎるとバテてしまい、山頂まで到達できない事態も起こりうるので注意が必要です。通気性・透湿性の高い肌着(ベースレイヤー)やウインドブレーカーを着て、熱を適度に逃すようにすると快適かつ安全に歩き続けられます。
登山では「早出早着」が原則! 早い時間に出発し、早い時間に目的地や下山地に到着することを意識しましょう。筆者は普段、可能な限り日の出に近い時間から登り始め、遅くとも15時ごろまでには下山を完了するように心がけており、それで危険な目に遭ったことはありません。
山はふもとよりも日没が早く、木々が生い茂る場所などでは、16時ごろにはすでに真っ暗で周りが何も見えない、という状態も少なくありません。視界が悪いと、足元の崖や段差に気づかなかったり、登山道ではない方向に進んでしまい、道に迷ったりしてしまうこともしばしばあります。暗くなる前に、登山を終えるようにしましょう。
また、Webサイトや山地図などに記載されている所要時間は、休憩時間を含めていないこともあります。実際には小休憩や食事の時間をとるはずなので、記載時間よりも長くなることを覚えておきましょう。これらを考慮しつつ、逆算して行動開始時間を決める方法がおすすめです。
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