「おうち時間」の拡大によって、楽器演奏などの趣味を広げる方が増えてきました。音楽の趣味をワンランクアップさせるべく、パソコンを使った音楽制作「DTM(デスクトップミュージック/Desktop Music)」を始めたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、DTMを始めるにあたって現在の主流である「DAW」ソフトの概要とおすすめ製品を紹介します。
古の「ケータイ雑誌ライター」。フィーチャーフォン時代の終焉とともに、守備範囲をIT・ガジェット・パソコン・AV家電など広範囲に拡大。趣味はゲームとアニメ・仮面ライダー・アメコミ映画などの鑑賞。好きな音楽はクラシックロックとネオアコ。
数十年前の自宅での音楽作成と言えば、パソコンと「シーケンスソフト」を使った「打ち込み」あるいは「MTR(マルチトラックレコーダー)」という機器を使った「多重録音」が主流でした。また、シーケンスソフトでリズムトラックとシンセパートを作成し、MTRでギターやベース、ボーカルなどと組み合わせることで楽曲のデモを作成するようなスタイルもポピュラーでした。
現在ではシーケンスソフトとMTRをパソコン1台で実現できる「DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション/Digital Audio Workstation)」を使用するのがDTMの主流です。
DAWは、打ち込みやデジタルで音声の録音、編集、ミキシングなど一連の作業ができるように構成された一体型のシステムです。主にパソコンのソフトウェアとして提供されています。
ギターやボーカルなどのアナログ音源を組み合わせるには別途「オーディオインターフェイス」が必要ですが、DAWさえあればとりあえずは音楽制作を始められるので、まずはDAWを使ってみて、必要に応じてその他の機器を買いそろえていくのがよいでしょう。鍵盤楽器が得意な人であれば「MIDIキーボード」なども便利です。
かつてはよくDTMを楽しんでいたけれど、久しぶりにやってみたい…と考えている方にピッタリなのが「Cakewalk by BandLab」(Windows対応)です。オリジナル版は1987年、MS-DOS向けにリリースされたシーケンスソフト「Cakewalk」で、後に「SONAR」として発展し長く愛されてきた、DTMでは老舗とも言えるブランドのDAWです。
ピアノロールによる入力はマウスで直感的にできるので、鍵盤や譜面が苦手なユーザーでも簡単。リズムパートも同様の入力ができるので、実際にドラムが叩けなくとも、自在に打ち込むことが可能です。
もともとは有料のソフトでしたが、現在は公式Webサイトから無償で提供されています。とりあえず試してみるのには最も適したDAWソフトと言えるでしょう。
本格的なDAWは操作が難しくて……という方におすすめのお手軽DTMソフト(Windows対応)。コードを入力して楽譜を作成、複数のメロディー、コード、ベース、アルペジオの音色と多様なリズム、ベース、ドラムのパターンから選んで作曲できます。
ボタンをクリックするだけで自動的に楽譜が作成され、音を聴きながら作業できるので、音楽の知識のない人や楽器が弾けない人も簡単に作曲できます。作成した曲に歌詞を付けてソフトに歌わせることもできます。
作成した楽曲はMIDI形式や歌付きのWAVE形式として保存可能。作成した楽譜は画像ファイルで保存でき、別ソフトに読み込んで印刷することもできます。ネットショップの実売価格は3000円台からと手頃です。
「Singer Song Writer」(Windows対応)は国産DAWの老舗ソフト。メロディーのコード進行を自動判定し、8000種類を超えるオーディオやMIDIフレーズ素材、1万パターンを超える伴奏素材からイメージ重視で選ぶだけで、手軽に曲作りができます。また、ボーカルやギター、キーボードなどの生演奏をレコーディングすることも可能です。
上位モデル「ABILITY」のDNAを継承。高品位なサウンドクオリティーを提供するオーディオプロセッシングとMIDIエンジンを搭載し、プロクオリティーのサウンドを実現します。多数のソフト音源を収録し、パソコンだけで表現力が豊かで迫力ある音作りも可能です。
完成した曲はミックスダウンとマスタリングを行い、音楽CD作成やMP3などのデータ出力、楽譜印刷など様々な形でリリースができます。
オンラインコード版の標準価格は9800円です。
「Ableton Live」(Windows/Mac OS対応)は、ドイツのAbleton社が開発するDAWソフト。人気ジャンルのEDMに向いているとされ、海外で人気のソフトです。入門版となる「Intro」は、一般的なDAWソフトと同様にMIDIシーケンスデータとオーディオデータの両方を扱えるなど、一通りの機能がそろっています。
他のDAWソフトに似た「アレンジメントビュー」と、特有の制作形態である「セッションビュー」という2つの制作画面(ビュー)を持つのが大きな特徴。セッションビューでは、数小節の短いループをトラックごとに作り、再生するループのグループ(シーン)を動的に切り替えることでリアルタイムに曲を構成していくことができます。
演奏した楽器の音声やMIDIデータを、複数のテイクとして個別に録りためる「コンピング」機能を搭載。複数のテイクの中から、うまく演奏できた部分を選んで組み合わせることで、理想のテイクを生み出すことができます。
ネットショップでの実売価格は1万800円前後となっています。
「Cubase」は日本の大手楽器メーカー、ヤマハの子会社であるドイツのスタインバーグ(Steinberg)社が手がけるDAWソフトです。MIDIシーケンスソフト時代からの老舗人気ブランドであり、現在も国内で人気を集めています。中田ヤスタカ氏など、プロにも愛用者の多いDAWです。
DAWにソフトウェアシンセサイザーなどさまざまな機能を追加できるプラグイン(拡張ソフト)の規格「VST」の元祖でもあり、さまざまなプラグインを使いこなすことで作成できる楽曲のサウンドの幅を広げることができます。
入門版となる「Elements」のネットショップでの実売価格は1万3000円前後。最上位版の「Cubase Pro 9」、機能を絞って搭載した「Cubase Artist 9」も用意されています。
「リニアPCMレコーダー」おすすめ5選 高音質でライブサウンドをデジタル録音【2022年1月版】
「オーディオインターフェイス」おすすめ5選 演奏や歌声を高音質でパソコン収録するなら【2021年最新版】
今売れている「ミニコンポ・セットコンポ」おすすめ3選&ランキング 音質とデザインにこだわったモデルをピックアップ【2023年5月版】
今売れている「ポータブルスピーカー」おすすめ3選&ランキング コンパクトさと防水性を兼ね備えたモデルをピックアップ【2023年5月版】
今売れている「レコードプレーヤー」おすすめ3選&ランキング フォノイコライザー・スピーカー内蔵だからすぐに使える【2023年最新版】Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.