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はじめしゃちょーが購入した“近未来バイク”「ホンダ NM4-02」、発売当時は人気がなかった? バイクジャーナリストが解説(1/2 ページ)

» 2023年09月06日 17時30分 公開
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 チャンネル登録者数が1000万人を超える大人気YouTuber、はじめしゃちょーが購入したことで話題となったホンダの「NM4-02」。その近未来的なスタイリングに驚かれた方も多いことでしょう。

 2014年に発売された「NM4-02」は、生産期間はわずか5年と非常に短命でしたが、はじめしゃちょーのように“刺さる人には刺さる”ため、中古市場では比較的高値で推移しています。いったいどんなバイクなのか、詳しく解説しましょう。

ホンダ「NM4-02」 ホンダ NM4-02

大屋雄一

大屋雄一

モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。

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“近未来”と“COOL”をコンセプトに独自カテゴリーを創造

 先日ニュースサイトを見ていたら、「NM4-02」という懐かしいバイクの名前が出てきて驚きました。懐かしいとは言っても、生産が終了したのは2019年9月なので、少なくとも4年前までは新車が購入できたことになります。

 つまり、旧車と呼ぶにはまだまだ早すぎるのですが、二輪業界で話題となったのは2014年のデビュー時ぐらい、つまり9年も前のことで、それもあって「あ〜、そう言えばそんなバイクあったよね」と感じてしまうのも無理からぬことでしょう。

ホンダ「NM4-02」 ホンダ NM4-02

 「NM4」は、“近未来”や“COOL”をコンセプトに開発されました。エンジンなどが見えないフルカバードボディですが、スーパースポーツやスポーツツアラーではありません。

 また、両足を前方へ投げ出すような乗車姿勢ですが、クルーザー(アメリカン)とも全く異なります。つまり、ホンダは「NM4」を通じて全く新しいカテゴリーを創造したといっても過言ではありません

 このスタイリングを見た瞬間、漫画「AKIRA」に登場したバイクを思い浮かべた方も多いことでしょう。作品の主人公である金田正太郎はバイクチームのリーダーで、彼が乗っていた赤い愛車のシルエットが「NM4」にどことなく似ています。

ホンダ「NM4-02」 AKIRA(出典:Amazon

 よく知らないという方は、「金田バイクスライドブレーキ」で検索してみてください。アニメ映画「AKIRA」の冒頭で登場するバイクのスライドシーンは、世界中のクリエイターに影響を与えたことは間違いなく、そのオマージュをさまざまな作品で見ることができます。

「01」と「02」の2バリエーションを展開

 「NM4」は、はじめしゃちょーが購入した「02」のほかに「01」があり、「01」は2014年4月、「02」は同年6月に発売されました。「02」の方はリヤタイヤの左右にトランクを備えているのが特徴で、合わせてリヤウインカーもそのトランクを含むボディにビルトインされています。

 さらに、5段階の温度調節が可能なグリップヒーターや、ETC車載器を最初から装備しているのもポイントです(01はオプション設定)。

ホンダ「NM4-02」 ホンダ NM4-02(出典:ホンダ公式サイト

 エンジンは745ccの水冷並列2気筒で、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)という有段式自動変速システムを採用しています。スクーターのようにスロットル操作だけで加減速ができるほか、左手で1速から6速までのギヤを任意に選ぶこともできます。

 なお、DCTシステムにはクラッチレバーがないことから、2019年12月の道交法改正により、AT限定大型二輪免許で運転できるのもうれしい要素です。

 シート高は50ccのスクーターよりも低い650mmで、実際にまたがってみると地面が非常に近く感じることに驚かされます。そして、ちょうど目の前にはデジタルメーターがあります。メーターのバックライトは、25色の中から任意で選ぶことも可能です。

ホンダ「NM4-02」 ホンダ NM4-02(出典:ホンダ公式サイト

中古市場のタマ数はごくわずか、当時は人気薄だった

 「NM4」を市場投入する前後、ホンダはこのパワーユニットを使ってバリエーションを積極的に増やしていました。「NC750X」「NC750S」「インテグラ」「CTX700」「CTX700N」「X-ADV」などがそうで、「NM4」はその中の1台という位置付けです。

 現在、国内のラインアップに残っているのは「NC750X」と「X-ADV」の2機種だけですので、淘汰(とうた)されたモデルはユーザーの趣味嗜好を探るための観測気球的な役割だったのかもしれません。

 「NM4」は2016年にマイナーチェンジを実施し、車体色を11種類から選べるという画期的なカラーオーダープランを導入しました。しかし、このテコ入れはあまりプラスには働かず、2019年9月に静かにディスコンとなってしまいました。

ホンダ「NM4-02」 ホンダ NM4-02(出典:ホンダ公式サイト

 不人気に終わった理由としては、積載性の乏しさが考えられます。「NM4-02」にはトランクが付いていますが、容量は片側で約7.5Lしかありません。一般的なサイドケース(パニアケース)は20Lオーバーで普通レベルという世界なので、7.5Lはかなり小さいと言えるでしょう。

ホンダ「NM4-02」 ホンダ NM4-02(出典:ホンダ公式サイト

 また、「NM4」はタンデムシートを起こすとライダーの背もたれになるというユニークなシステムを採用しているのですが、それを生かしつつシートバッグを装着するには工夫が必要です。つまり用途が非常に限られてしまうため、同じパワーユニットを搭載する他機種を選んでしまう人がいても不思議ではありません。

 加えて、このパワーユニットを搭載したシリーズは安価であることがセールスポイントで、例えば2014年モデルで比較すると、「NC750X」のDCTモデルは81万4800円(税込、以下同)でした。これに対して「NM4-01」は99万9000円、「NM4-02」は116万1000円です。

 「NM4」は専用パーツを多用しているがゆえに高価格設定になってしまったのですが、やはり750ccのバイクとしては高いと言わざるを得ません

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はじめしゃちょーの大型二輪免許取得を応援します!

 はじめしゃちょーが購入した「NM4-02」は、マフラーの形状から判断して前期モデル(2014〜2015年)の可能性が大で、カラーはマットバリスティックブラックメタリックです。

ホンダ「NM4-02」 ホンダ NM4-02

 ちなみに、免許取得前に車両を購入して自分を追い込むという例は枚挙に暇がなく、ショップによっては、そうした車両を保管するための専用スペースがあるほどです。

 はじめしゃちょーは、すでに125cc以下のバイクに乗れる小型限定普通二輪免許をお持ちなので、教習所さえ混んでいなければ大型二輪免許へのステップアップはたやすいはず。「NM4-02」の納車、そしてツーリング動画を楽しみに待っています!

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