一般公道をバイクで走行する際、道交法によって着用が義務付けられているのが乗車用ヘルメット。いくつかのタイプに分類することができますが、中でも保護面積が最も広く、安全性に優れるのが「フルフェイスヘルメット」です。
今回は購入する際の予備知識として、安全規格やヘルメットの種類、サイズの測り方、そしてかぶり方について紹介しましょう。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
1986年以降、50cc以下の原付を含むすべてのバイクで、走行時のヘルメット着用が義務付けられました。その基準については、道路交通法施行規則第9条の5(乗車用ヘルメット)で以下のように定められています。
1:左右、上下の視野が十分とれること
2:風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること
3:著しく聴力を損ねない構造であること
4:衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること
5:衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること
6:重量が2kg以下であること
7:人体を傷つけるおそれがある構造でないこと
なお、道交法ではこれ以上の縛りはありませんが、日本国内でヘルメットを“乗車用”として販売するには、国が定めた安全基準に適合していなければなりません。それを表すのが「PSC」マークです。
また、製品安全協会が定めた認定基準に適合した製品には「SG」マークが表示され、製品の欠陥による人身事故には最高1億円までの賠償措置が講じられます。なお、このPSCとSGは1枚のラベルに併記されていることがほとんどです。
PSC/SGを上回る任意規格として、日本工業規格の「JIS」や、スネル財団によって規定されている「SNELL」があります。自分の命を守るためにも、これらの安全規格を目安に乗車用ヘルメットを選ぶことを強くおすすめします。
そもそもヘルメットの役割は、転倒や衝突などによって生じる衝撃エネルギーをできるだけ吸収・分散し、脳へのダメージを緩和することです。そのため、基本的な構造としては、FRPなどの樹脂で作られた帽体(シェル)と、発泡スチロール製のライナー、そして化繊によるあごひもで構成されています。
警視庁の調べによると、都内で発生したバイク乗車中の交通事故死者のうち、致命傷が頭部だった割合は過去5年間(2017〜2021年)で平均51.1%にも上るとのこと(出典:警視庁)。このうち約3割が頭部からヘルメットが外れていたというデータもあり、ただかぶるだけでなく、あごひもをきちんと締めることが重要と言えるでしょう。
乗車用ヘルメットは、形状によってフルフェイス型、ジェット(オープンフェイス)型、システム型、ハーフ型に大別できます。フルフェイス型はその名のとおり、顔(頭部)全体を覆う形状のため、最も保護性能が高いのが特徴です。
顔が覆われるため匿名性が高いことや、あご部分(チンガード)にGoProなどのアクションカムを装着しやすいことから、動画投稿サイト用に選ぶ人も少なくないようです。デメリットとしては、ジェット型よりも開放感が少ないことや、かぶったままで飲食ができない点などが挙げられますので、自分の使い方を想定して選ぶようにしてください。
日本を代表するヘルメットメーカーの「アライヘルメット」が、公式サイトで紹介している頭部サイズの測定方法を見てみましょう。まずはこれを目安にサイズをピックアップし、実際に製品を試着します。
一般的にアジア人の頭部は真上から見ると丸型、欧米人は縦長と言われていますが、これはあくまでも傾向であり個人差も大きいとのこと。まずはかぶってみてフィット感を確認してみてください。
なお製品によっては、内装を違うサイズに変更することで、フィット感を微調整することができます。購入時はちょうど良いように感じたけれど、ツーリングで長時間かぶってみたら偏頭痛のような症状が出た、などという人は試してみることをおすすめします。
次に、同じくアライヘルメットが推奨するフルフェイスヘルメットのかぶり方を紹介します。
ポイントとしては、左右のあごひもを持ち、横方向に広げつつ額から先にかぶることです。前髪が垂れ下がると、走行中に視界を妨げたり、目に入って痛みを伴ったりすることもあるので要注意。最後にあごひもをしっかりと締めることを忘れずに!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.