登山やハイキングをしていると、すれ違う人と「こんにちは」とあいさつを交わす場面がたくさんあります。山登りを始めたばかりの人は「街では知らない人にあいさつをすることはほとんどないのになぜ?」と思うのではないでしょうか?
実はこの「こんにちは」には、単なるあいさつ以外にも意味があります。
今回は、そんなあいさつの意味やすれ違う時のマナーを紹介。ぜひ次の山登りから実践してみてください!
フリーランスのライター・編集者。元アウトドアショップ店員。富士登山をきっかけにアウトドアにはまり、登山やキャンプ、トレイルランニングなど幅広いアクティビティを一年中楽しんでいます。自身の山体験や、店員時代の接客経験を生かし、リアルで深い内容を発信!リモートワーカーのため、仕事や日常を快適かつ生産的に行うためのガジェット選びも得意です。
登山やハイキングをしたことのあるほとんどの人が、すれ違う登山者から「おはようございます」や「こんにちは」と言われた経験があるのではないでしょうか。山では、すれ違いざまにあいさつをするのがマナーです。
街中では他人にあいさつをすることはほとんどありませんが、山は街よりも人とすれ違う機会が少ないもの。山で出会う人は「赤の他人」というよりも、自分と同じくらいキツい登りを経験し、美しい景色を楽しむ「同志」のような感覚があるため、あいさつをすることで気持ちよく山登りを満喫することができるのです。
また、あいさつには安全にかかわる重要な意味もあるため、ほとんどの登山者がこのマナーを守っています。
山ですれ違う人とあいさつを交わすことで、遭難防止につながることも。大自然の中に身を置くアクティビティである登山では、何が起こるかわかりません。例えば天候が急に変わり雨風にさらされて体力を消耗したり、滑落や道迷いをしたりと、遭難につながるリスクがたくさんあります。
救助隊による捜索や救助が必要になった場合、目撃者からの情報が重要になります。
あいさつを交わすと、すれ違った人の性別や持ち物、顔やウェアの特徴などをうっすらと覚えていることがあります。「赤いウェアを着た男性と〇〇付近であいさつをした」といった目撃者からの情報は遭難場所の特定に役立ち、スムーズな救助につながります。
このように、山でのあいさつはお互いの存在を印象づけることにつながり、遭難のリスクに備えられるメリットがあるのです。
あいさつをすることで会話が生まれたり、情報交換ができたりするメリットもあります。電波が届きにくく、電話やネットを使いにくい山の中では、天気予報や危険箇所の有無、クマの出没といったリアルタイムの情報が得られにくいもの。そんな時に役立つのが、居合わせた人からの情報です。
あいさつを交わすと、初対面の他人でも会話がしやすくなります。「こんにちは」と声をかければ、「この先の道が滑りやすくなっています」「先ほどあそこでクマの出没情報があったので注意してください」など、相手が情報を伝えてくれることもあり、安全な山登りにつながるというわけです。
ほかにも、気になっているギアを持っている人に使用感を聞けたり、相手にウェアをほめてもらったりと、会話がはずむこともあります。初対面の人とも仲良くなりやすいのが山登りの魅力の一つ。そのきっかけとなるあいさつをすれば、より山を楽しむことができるでしょう。
急な登り坂など、息が切れていて言葉を交わすのが難しいこともあるでしょう。そんな時は無理せず、顔を見合わせて会釈するだけでもOK。とはいえ、言葉が発せないほど疲れているのは危険なため、休んだり、撤退したりする勇気も必要です。
また、すれ違った人がかなり疲れている様子なら「大丈夫ですか」とたずねてみたり、休憩をすすめてみたりしましょう。こうした声かけが、遭難防止につながります。
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