渋くてかっこいい雰囲気や、クラシカルでかわいらしい雰囲気を持つ「オールレザー(革製)の登山靴」。長年大切に履き続けている人も多く、それに憧れている人もいるのではないでしょうか。とはいえ、革靴ならではの使いづらさやメンテナンスの大変さは気になるところ。
そこで今回は、オールレザー登山靴ならではの魅力やデメリットを解説します。
フリーランスのライター・編集者。元アウトドアショップ店員。富士登山をきっかけにアウトドアにはまり、登山やキャンプ、トレイルランニングなど幅広いアクティビティを一年中楽しんでいます。自身の山体験や、店員時代の接客経験を生かし、リアルで深い内容を発信!リモートワーカーのため、仕事や日常を快適かつ生産的に行うためのガジェット選びも得意です。
トレンドに左右されない普遍的なデザインが魅力的な、オールレザーの登山靴。どんなウェアにもなじみやすく、味わい深いオールレザー登山靴に憧れている人は多くいます。愛用者の声を聞いてみると「もうナイロンには戻れない」「生涯の相棒だと思って使っている」などの熱い声が多数。
軽さやメンテナンスのしやすさだけで見れば、ナイロン製など化学繊維を使った登山靴のほうがメリットが大きそうですが、そこまで山好きをひきつける魅力はどこにあるのでしょうか?
オールレザー登山靴の最大の長所は、使い込むほどに自分の足の形になじむこと。長く愛用している人の中には「もうナイロン製には戻れない」という人がいるほど、心地良いフィット感が魅力です。
本革は使い始めは非常にかたいのですが、使っていくうちにしなやかになり、使う人の足幅に合わせて伸び、なじんでいきます。履き込んでいくうちに“自分だけの一足”になるので、快適に山歩きできるとともに、相棒のように愛着がわくのです。
使い始めは靴全体がかたく、歩きづらいと感じたり、靴ズレを起こしたりする可能性もあります。そのため新品を購入したら、すぐに長時間の登山に使うのは危険。10〜30分の散歩から始めて、次に往復1〜3時間ほどの低山歩き、慣れてきたら半日かけて登山をする、といったように徐々に使用時間を伸ばして履き慣らすのがおすすめです。
お手入れをせず放置するとカビたり、乾燥してヒビ割れたり、防水性が落ちたりしてしまうのもオールレザーの特徴。そのため、クリーニングやクリーム・ワックスがけなどの定期的なメンテナンスが必要です。
その一方で耐久性が高いため、適切なお手入れをすればナイロン製のものよりも比較的長く使えるメリットもあります。中には10年以上使っている人も。オールレザー登山靴の価格は3万〜5.5万円ほど(雪山用を除く)とナイロン製などよりはやや高額なものの、長い目で見るとコスパが高いともいえます。
オールレザー登山靴で気になるのは重い点です。ナイロンや、一部にのみ本革が使われている登山靴が片足約450〜600gほどなのに対して、オールレザーは1000g超えと約2倍ほどのモデルが多数。
厚みのある素材のため、かたい岩にぶつけたとしても足を保護してくれるメリットはあるものの、長時間歩いていると足におもりをつけているような感覚になり、疲れやすいのも事実です。
半日以上歩く山行や、泊まりがけのハードな山行では軽量なモデルを選ぶなど、オールレザー登山靴1足のみを全ての山行で使うのではなく、シーンによって使い分けてもよいかもしれません。
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