レインウェアやアウトドア向けのシューズ、帽子などの生地によく使われている「ゴアテックス(GORE-TEX)」。防水性や透湿性、防風性など、アウトドアウェアに必要なスペックをたくさん盛り込んでおり、初心者からプロまで、幅広いアウトドア好きに愛用されています。
今回は、そんなゴアテックスの魅力や気になる点、おすすめのお手入れ方法を紹介します。
フリーランスのライター・編集者。元アウトドアショップ店員。富士登山をきっかけにアウトドアにはまり、登山やキャンプ、トレイルランニングなど幅広いアクティビティを一年中楽しんでいます。自身の山体験や、店員時代の接客経験を生かし、リアルで深い内容を発信!リモートワーカーのため、仕事や日常を快適かつ生産的に行うためのガジェット選びも得意です。
「ゴアテックス(シリーズ)」とは、防水透湿性を備えた、米国生まれの生地のこと。「ゴアテックスメンブレン」と呼ばれる、無数の穴が空いた0.01mmほどの薄いフィルムを、撥水性の高い表地や肌触りの良い裏地がサンドしていることが多いのが特徴です。
ゴアテックスのすごいところは、外からの雨や雪を内部に通さないように弾きつつ、内部で発生した湿気や熱気を逃すという、一見相反する特徴をあわせ持つ点です。
傘に使われるようなナイロンやポリエステルは水分を弾く一方で、湿気を吸い取ったり外に逃がしたりする効果はなく、ウェアの場合はムレてしまうこともあります。
またメリノウールや麻など、透湿性が良いものはウェアとして着用してもムレにくい一方で、水を弾く性能はありません。体温が上がることが多く、汗もかき、雨にぬれるリスクも想定しなければいけないアウトドアでは、防水性と透湿性を兼ね備えた素材が重宝されるのです。
ゴアテックス素材は、具体的に「何年間使える」といった記載はありませんが、耐久性が高く、経年劣化も起こりにくいとされています。中には10年以上もゴアテックス採用のレインウェアを使っている人もいるほど。
ただし、ゴアテックス素材と一緒に使われている接着剤やシームテープ(継ぎ目からの浸水を防ぐためのテープ)、ファスナーなどが加水分解や故障により使えなくなることが多いため、ゴアテックスを使ったウェアが半永久的に使えるというわけではありません。
また使い続けた場合、撥水性が徐々に落ちていくことも。はじめは水玉になって弾いていた水分も、ベチャッと生地にくっつくようになることもあります。撥水性は日頃のメンテナンスによってある程度維持できるため、ゴアテックス専用洗剤でのクリーニングなど、お手入れをきちんと行いましょう。
ゴアテックス素材に使われるナイロンは、熱に弱いです。一般的な登山やキャンプでの使用であれば問題ありませんが、たき火には注意。火の粉が飛ぶとゴアテックスの表地が焦げて穴が開く可能性が高いです。
また、アイロンを当てると撥水性が復活すると言われますが、高温のアイロンを押し付けたり、当て布なしでアイロンをかけたりすると、生地が痛む可能性が高いため注意しましょう。
ゴアテックス素材に伸縮性はほとんどなく、パリッとした触り心地が特徴。そのため、ゴワゴワ感の強い着心地が苦手な人もいるようです。アウトドアブランドによっては、防水透湿性としなやかさをあわせ持つ素材を開発し、ウェアを販売しているところもあるので、ぜひチェックしてみましょう。
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