ママチャリ(シティサイクル)や電動アシスト自転車を利用する人は多いですが、意外と知られていないのがタイヤに空気を入れる頻度や、どのくらい空気を入れるべきかということ。そこで今回は自転車ジャーナリストである筆者が、空気の補充タイミングや、入れるべき空気量について詳しく解説します。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
タイヤの空気を保持するため、内部にはゴム製のチューブが装入されています。水も通さないゴムから空気が抜けるなんてなかなかイメージしにくいですが、実はゴムの分子間には隙間があり、そこから分子サイズのより小さな酸素が先に抜けていきます。
風船は数日経つとしぼんでしまいますよね。原理としては全く同じで、これが空気の抜ける要因です。
タイヤには銘柄ごとにそれぞれ適正な空気の量(空気圧)が決まっていて、タイヤの側面(サイドウォール)に記載されています。適正空気圧よりも極端に低いと、タイヤが転がるときの抵抗が増えたり、乗り心地が悪化したりします。
さらに、タイヤの表面に刻まれた溝が正しく機能しなくなるので、ぬれた路面での排水性が悪くなり、スリップする可能性が高まります。
そして何より恐いのはパンクのリスクが高まることです。パンクは釘などの異物が刺さる外的要因のほかに、ホイールのリムと地面との間にタイヤとチューブが勢いよく挟まれた際に生じる「リム打ち」があり、空気圧が低いほど発生しやすくなります。
このリム打ちパンクは、チューブに穴が2つ開くことが多く、まるでヘビにかまれたような痕に似ていることから、英語圏では「スネークバイト」などと呼ばれています。歩道などの段差に乗り上げる際に生じやすく、あきらかに「ゴツン!」と音がするようになったら、すぐにでも空気を入れるようにしてください。
自転車メーカーや大手販売店のサイトでは、シティサイクルのタイヤに空気を入れる頻度は「1カ月に1回」を推奨していることが多く、一つの目安となります。
タイヤに空気を入れる部分は「バルブ」と呼ばれ、自転車は「英式」「仏式」「米式」の3種類あります。ただし、一般的なシティサイクルや電動アシスト自転車はほぼ「英式バルブ」に統一されているので、フロアポンプ(空気入れ)を購入する際は英式が使えることを確認してください。
英式バルブは構造上あとから空気圧を計測できないという短所があるため、大手販売店などでは「側面を指で押して少しへこむ程度」を推奨しています。指の力は人それぞれですのであくまでも目安でしかありませんが、風船のようにグーッとへこんでしまうのは明らかにNGと言えるでしょう。
空気を入れる際、タイヤのコンディションもチェックした方がよいでしょう。溝がなくなるほど表面が摩耗していたり、側面にひび割れができていたら交換時期です。また、釘などの異物が刺さっていないかも確認しておくと、出先でのパンクのリスクを減らすことができます。
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