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「これは意外」「節約したつもりが」 エアコンの「冷房」と「除湿」どちらが安い? FPが電気代を比較してみた【2025年6月版】(1/2 ページ)

» 2025年06月14日 10時00分 公開
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 梅雨の時期になると、エアコンの除湿モードを使う機会が増えてきます。湿度を下げると涼しく感じるので、冷房の代わりに除湿を使っているご家庭も多いのではないでしょうか。

 その理由が「除湿の方が電気代が安い」というイメージであるなら、ぜひ続きを読んでみてください。

フォト エアコンの冷房と除湿はどちらが電気代が安い?(出典:photo-ac.com)

 この記事では、「除湿」と「冷房」それぞれの機能の違いや電気代の比較、上手な使い分けのコツについて解説します

石倉博子

石倉博子

ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。

“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。


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エアコンの除湿機能には3つのタイプがある

 はじめに、「除湿の方が電気代が安い」というのは正しくありません。エアコンのメーカーや機種、稼働時の環境によって変わってくるので、どちらが安いとは一概に言えないというのが答えです。仮に稼働時の環境が同じであれば、エアコンの機能による消費電力の違いで判断します。

 エアコンの除湿機能には、主に3つのタイプがあり、メーカーや機種がどのタイプの除湿機能を採用しているかによって、消費電力に違いが出てきます。

フォト エアコンの除湿機能には3タイプがある(出典:photo-ac.com)

エアコンの除湿機能タイプ1:弱冷房除湿

 取り込んだ空気を冷却することで水分を奪い、その冷却された空気をそのまま室内に戻すことで除湿します。そのため弱い冷房をかけている状態と同じになり、肌寒く感じることがあります

エアコンの除湿機能タイプ2:再熱除湿

 空気を冷却することで除湿しますが、冷却された空気を暖めなおして室内に送り出すため、室温を下げずに湿度だけを下げることができます。ただし、熱を加える工程が入るため、弱冷房除湿よりも消費電力が大きくなります。

エアコンの除湿機能タイプ3:ハイブリット除湿

 取り込んだ空気を冷却して除湿した後、室内の暖かい空気と混ぜながら放出するため、寒くなりにくく、かつ再熱除湿と比べて消費電力は控えめです。弱冷房除湿と再熱除湿の“いいとこ取り”をした方式と言えるでしょう

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エアコンの「冷房」と「除湿」の電気代比較

 エアコンの消費電力は、使用時の気温や湿度、設定温度などによって変動するので、単純比較はできませんが、概ね以下のような傾向があります。

冷房と3タイプの除湿の電気代比較

 消費電力が大きい順に、再熱除湿>冷房>弱冷房除湿≒ハイブリッド除湿

 と、なります。お使いのエアコンの除湿機能がどのタイプであるかは、メーカーの公式サイトや取扱説明書で確認できます。

実際に電気代がいくらになるか計算してみた

 エアコンの「冷房」と「除湿」の電気代を消費電力をもとに計算してみました。

フォト エアコンの冷房と除湿の電気代を比較(出典:photo-ac.com)

 ダイキン工業の公式サイトによると、運転安定時1時間あたりの消費電力量は、冷房の通常運転では237Wh、除湿冷房の通常運転では239Whとほぼ変わりません(出典:ダイキン「ルームエアコン AN405ARP」)。

【冷房】

  • 1時間あたり:7.3円
  • 1日(8時間)あたり:58.8円

【除湿冷房】

  • 1時間あたり:7.4円
  • 1日(8時間)あたり:59.3円
※除湿機能はハイブリット方式(リニアハイブリット方式)
※電力料金目安単価31円/kWh(税込)で計算

 パナソニックの公式ページには、「冷房」と「除湿(冷房除湿)」の電気代は同じであり、「再熱除湿」は冷房よりも電気代が約1.2倍高くなると記載されています(出典:再熱除湿機能の仕組みと搭載機種の見分け方は|Panasonic)。

 つまり、冷房も除湿も消費電力に大きな差はなく、再熱除湿の場合は少しだけ電気代が高くなると考えておくとよいでしょう

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「冷房」と「除湿」使い分けのコツ

 冷房と除湿の消費電力にあまり差がないことは前述したとおりです。そのため節約のために除湿を使う、あるいは除湿を使わないという選択は意味がないと言えます。

 夏場に節約を考えるなら、設定温度を高くした方が電気代を節約できます。設定温度を1度上げると約13%節電になると言われています。

 湿度が下がると設定温度が高めでも涼しく感じられるので、温度と湿度の両方で快適な空間を作るのがベストです。

 夏場に心地よいと感じるのは、温度は26度〜28度、湿度は40〜60%とされているので、この状態に近づくように、冷房と除湿を使い分けるのがコツです。

フォト エアコンの設定温度に気を付けてみよう(出典:photo-ac.com)

室温が上がり過ぎていたら

 素早く温度を下げられる「冷房」で、まずは室温を下げましょう。設定温度に近づいたら、湿度も気にして「除湿」モードに切り替えてもよいでしょう。

暑さよりもジメジメ感が気になるなら

 「除湿」モードを積極的に使いましょう。湿度は50%前後が目安です。

 「冷房」か「除湿」か迷ったときは、室内の環境を判断して最適な運転をしてくれる「自動」モードを使うのも一つの方法です。最近は、AIを使って最適な運転・制御パターンを判断する自動運転も登場しています。

 エアコンの冷房と除湿を上手に活用して、梅雨を乗り切りましょう!

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